この記事では、ゲームブックの要素が入った非常に変わったボードゲーム「アバブ&ビロウ」を紹介します。
アバブ&ビロウは、拡大再生産のシステムをベースに、ゲームブックによる探索要素が非常に特徴的で魅力的な作品です。
どんなゲームか、ルール紹介と実際に遊んでみたレビューになります。
アバブ&ビロウ:ゲーム概要
あなたたちは、バーバリアンによって村を焼き討ちにされ、長旅の果てにこの新天地へとたどり着きました!
各プレイヤーはそれぞれ村の指導者となり、地上の開発と地下世界の冒険を通じて、互いに村の発展を競い合います。
地上では村人を雇用したり、冒険に役立つ家やお金やリソースを生む家など特殊な能力をもつ家を購入していきます。
そして、さらなる村の開発や名声を獲得するために地下世界へと冒険隊を派遣しましょう。
地下世界での冒険では、215種類のパラグラフの中から1つがランダムに選択されます。さらにそれらのパラグラフの中には、常に選択肢とダイスによる判定があり、遊びきれないほど多くの物語と結果が冒険者たちを待ちうけるのです!
村の発展と地下世界での冒険が互いに影響を与え合うため、遊ぶたびにゲームの展開は異なったものとなり新鮮な気持ちで何度も繰り返しプレイしたくなることでしょう。
開拓と冒険を生き生きと体験できる、ボリュームたっぷり大満足の拡大再生産ボードゲームです。
アークライト公式HP
デザイン | ライアンローカット |
プレイ時間 | 90分 |
プレイ人数 | 2~4人 |
対象年齢 | 13歳以上 |
原題 | Above and Below |
版元 | Red Raven |
日本語版販売 | アークライト |
日本語版発売日 | 2020年7月9日 |
希望小売価格 | 6380円(税込み) |
アバブ&ビロウは、2015年に海外のキックスターター発で発売されたボードゲームです。
日本では2020年7月にアークライトさんから発売されました。
ゲームのフレイバーとしては、バーバリアンに土地を追われた部族が、新天地にたどり着き、その地上も地下も開拓していくという話。
開拓ゲームあるあるで、土地を沢山開拓してVPを稼いだ方が勝ち。
ゲームメカニズムとしては「拡大再生産」「ダイスロール」そして「物語と選択」です。
自分の住民の数=アクション数、というアグリコラな感じで、住民に働かせて「建物を建てたり」「収穫したり」「労働させたり」「探索させたり」「人を増やしたり」できる。
住民を働かせることで建物を建てることが出来、そこから新しい資源や特殊効果を毎ターン得られるようになる。お金を使って住民を増やせば、アクション数を増やすことが出来る。
住民を増やすばかりではダメで、回復施設も建てないと住民は回復しない=次のターン使えない。
これが拡大再生産。
これはそこまで珍しいものでもなく、アグリコラ等のワーカープレイスメント系のゲームを超シンプルに仕立て上げた感じです。選択できるアクションもわずか5種類。
ここまでだったらこのゲームは佳作かそれ以下止まりでしょう。
このゲームの非常に大きな特徴は「物語と選択」システムにあります。
5つのアクションの内の1つ、「地下の探索」を選択すると、住民が地下世界を探索することになります。この探索時にゲームブック調のシステムが発生します。
行き先はサイコロで決めることになり、例えば「No23番」に向かうことになったら、「No23番」の物語を隣の人が読みます。
そこには「あなたは人魚に出会ったが人魚は助けてほしそうだ。助けますか?」みたいなことが書かれている。
助けるにしても助けないにしてもサイコロを振ってのダイスチャレンジが発生します。これが「ダイスロール」。一定値以上の出目が出ればチャレンジに成功して何らかの報酬がもらえるという感じ。単純な運だけではなく、連れていく住民によって探索に成功しすくなっています。
ダイスロールに成功すれば、評判が上がったり、資源をもらえたり、お金をもらえたり、大体良いことが発生し、更にその探索した地下世界を自分のモノにできます。
自分のもっているそれぞれの地下世界には、1つだけ地下建築物を建てられます。これらの地下建物は、地上に建てる建物よりも高効率なものが多く、地下探索を行うモチベーションになります。
ダイスロールに失敗すれば、単純に何も得られません。地下世界も得られません。
この物語調の選択肢とその結果が実に220種類くらい用意されており、プレイする毎に自分だけの地下世界の物語を楽しむことが出来る、これが他にはないこのゲームの最大の特長になります。
どうでしょう?私はこれで非常にビビっときました。これが面白くないわけがない!
何というかこういったらデザイナーに怒られるかもしれませんが、これがこのゲームのほぼ全てと言っても過言ではないですね。
このゲームブックのような物語と選択肢のシステムが楽しくてワクワクして魅力的だからこそ、このゲームをやりたくなると言っても過言ではないです。
地下を全く開拓しないプレイも可能ですが、それではこのゲームをプレイする意味があまりありません。他にも優秀な拡大再生産のゲームが幾らでもあるからです。
アバブ&ビロウ:ルール説明
アバブ&ビロウのルール説明していきます。
ゲームの目的
他のプレイヤーよりも自分の集落を発展させ勝利点を沢山稼ぐこと。
勝利点の稼ぎ方
勝利点の稼ぎ方は大きく分けて4種類。
勝利点の種類 | 勝利点の内容 |
---|---|
①建物の基礎勝利点 | 建築された建物1つに付き1勝利点 |
②建築物のボーナス勝利点 | 多くの建物は追加の勝利点を持っています。 |
③資源の確保数 | 8種類の資源を異なる種類で多く集めると高得点 |
④評判による勝利点 | ゲームブックで良いことをすると上がり、悪いことをすると下がる。 |
建物と資源の2つが大きな勝利点要素になっています。
資源は建物からも得られますし、地下探索からでも色々得ることが出来ます。
大体50点以上はいく感じになります。
ゲーム終了条件
全プレイヤーが手持ちの住民を全て使い終わったら1ラウンド終了。
7ラウンド終了時点でゲーム終了です。
思ったより結構早く終わります。
ゲームの流れ
- 自分の住民を使って1アクション実行
- 次のプレイヤーのターン
- これを住民を使えるだけ続ける(使い切らなくても良い)
- 全員がパスしたらラウンド終了。次のラウンドへ。
実行できるアクション
各ターンで実行できるアクションは以下の5つ
- 建築
- 訓練
- 労働
- 収穫
- 探索
建築アクション
お金を支払い、場に並んでいる建築物から1つを選んで建築するアクション。建築した建築物は自分の手元に置かれる。
建物は、勝利点になったり、毎ラウンドお金を生み出してくれたり、資源がその上に置かれたりする。
地上用と地下用の建築物があり、地下用の建築物を建てるには、地下の探索を成功させて、地下探索カードが手元にある必要がある。
このアクションを実行するには「ハンマー」マークを持った住民を使う必要がある。
建物は幾つか種類があります。
建物の種類 | 建物の説明 |
---|---|
ノーマル建物(地上) | 建築に制約が無い地上の建物。 山札からランダムで場に一定数めくられている。 |
ノーマル建物(地下) | 地下探索済の土地が無いと建てられない地下の建物 山札からランダムで場に一定数めくられている。 |
特殊建物(地上) | 特殊効果を持った建物。 値段の割にかなり効果が強いので確保必須。 |
勝利点建物(地上) | 大きな勝利点を持った建物。 値段も非常に高いので終盤に1人1枚建てる感じになる。 |
特殊建物は、コストが非常に安い割に、強力な永続効果を与えてくれるものも多いため、1人1つは必ず確保した方が良い建物です。
訓練アクション
住民コマを1人獲得するアクション。
場に並んだ人から1人を選んでお金を払うだけでOK。住民は2金~5金で売れ残っている人ほど安くなる仕組み。
異星人っぽいのも出てきたりする。獲得した住民は次のラウンドから使えるようになる。
このアクションを実行するには「羽」マークを持った住民を使う必要がある。
見た目がヤバそうなキャラクターほど能力が高く設定されている傾向にあります。
労働アクション
労働して1金を得るだけのアクション。
このアクションは毎ラウンド先着1名で「酒樽」が1つもらえる。これは住民を鼓舞して、体力を回復させる効果がある。
酒樽があれば中々良いアクションだが、酒樽がもらえないとややもったいないアクション。
収穫アクション
建物を建てると、建物によってはその上に収穫物が生成されます。
この収穫物を獲得するためのアクション。
収穫物は主に収穫物トラックを埋めるためとボーナス勝利点に使われる。収穫物トラックを埋めると勝利点が増えるのと、毎ターンの収入が底上げされるので比較的重要。
収穫した物は、自分の売却エリアに配置して、他のプレイヤーに好きに売却するということも可能。2人プレイだとあまり意味が無いですが、3人以上のプレイだとそれなりに売買システムも機能します。
探索アクション
このゲームで最も楽しいアクション。
地下迷宮を探索。ゲームブックを読んで物語の展開と選択を行い、何らかの恩恵を受けることができます。
サイコロを振って1~6の出目に従って、一番上の探索カードに書かれた番号の書かれているストーリーブックを読みます。
115だったら、115のパラグラフを左隣のプレイヤーが朗読します。番号によってストーリーやその結果に得られるものや難易度が変わってくるわけですね。
例えば、「危険そうな道があるがそちらを進むか?進む場合は難易度8」「迂回する場合は、難易度2」さあどうするか?
という感じ。
難易度8は達成できそうにないから、迂回路で難易度2に挑戦、サイコロ振って判定(住民カードに何が出れば何ポイントになるかが書いてある)。6ポイント出たので難易度5クリア。
報酬として、その辺に生えていたキノコ3と落ちていた金貨3枚を獲得。ただし迂回したことで評判が下がり評判マイナス1。探索達成したので地下探索タイルを獲得。この上に地下用の建築物を建てられるようになる。
そんな感じでゲームプレイ中にゲームブックの世界に入り込むわけです。非常にワクワクした展開が待っている。
ちなみに探索アクションには住民は2人以上派遣しないといけない制約があります。
評判に関して
全プレイヤーの集落はそれぞれ評判値を持っている。評判は活躍したりすると上がる名声のようなもの。
地下探索で評判を得られると+1・2など上がっていく。逆に悪いことをすると下がっていく。
これはゲーム終了時に評判値によって勝利点が入る。例えば評判をMAXまで上げると7勝利点が得られる。
また、ゲーム終了時の評判の順位に応じて勝利点が入る。最も評判が高いプレイヤーは5勝利点が入る。
MAX12点にしかならないので、そこまでゲームに影響しないと思いきや、評判がいいプレイヤーが大体良い順位になるゲームになっており、逆に評判が悪いプレイヤーが勝ったことはほぼ記憶に無いですね。不思議です。
収穫物に関して
収穫物は全8種類。
- コモン:キノコ、魚、果物
- アンコモン:ロープ、紙、ポット
- レア:鉄鉱石、アメジスト
ものによってゲーム内での得やすさが異なる。
ただ、コモンのはずの魚が全然出なかったり、逆にレアのはずのアメジストが大量に手に入ったり、思ったよりレア度と得られる結果に相関がありません(笑)。
収穫トラックに関して
収穫トラックは、毎ターンの収入と収穫物による勝利点が得られるトラックです。
収穫物の種類数と同じ8か所置く場所があり、異なる収穫物をトラックに配置すればするほど、毎ターンの収入と勝利点が増えます。
トラックは左から順番に埋めていき、トラックの後ろに配置するほど、収穫物1個当たりの勝利点が高くなる。
例えば、一番最初のトラックに置いた収穫物は1個1勝利点だが、一番最後のトラックに置いた収穫物は、1個に付き6勝利点になる。
しかし、トラック1か所には1種類の収穫物しか置けず、更に一度置いた収穫物は移動させられなくなるので注意。
そのため、希少鉱石などは早めにトラックに配置して、高得点になる後半のトラックに出やすい収穫物を置くのが良い。
このゲームのメイン勝利点獲得手段の1つ。
アバブ&ビロウ:レビュー
全体を通しての感想
早速ですが「アバブ&ビロウ」の個人的な評価から。個人的な評価は文句なしに5点満点で5点です。ただし、超名作というよりは、心地よくて程よい佳作という感じ。
これは凄い面白いぞ!…という感じではなく、これは何とも不思議で面白いボードゲームだという感じが最初に来ました。
何だろう。。。このゲームが面白いのは間違いないのですが、「ドミニオン」や「イーオンズエンド」を始めてプレイしたときのような脳汁溢れるような衝撃、劇的に超面白い!っていう感じではなく、何とも不思議な感覚を味わえるボードゲームという感じなのです。勿論つまらなさは全然感じません。
一緒に遊んだプレイヤーも同じような感想でした。これがどういう感じかを紹介していきたいと思います。
地下迷宮探索が最高に面白い
本ボードゲームの最大のポイントはやはり、ゲームブック調の地下迷宮探索イベントです。これを楽しみに皆購入するわけですが、流石というか期待以上の感じで、これまで経験したボードゲームにはない感じの非常にワクワクした展開が楽しめます。
アバブ&ビロウを知らない方のために紹介しておくと、プレイヤーが地下迷宮探索というアクションを行うと、振ったサイコロの目に応じた番号のシナリオ探索に挑戦することになります。
シナリオの内容はゲームブックに書かれており、左隣りの人が読み上げます。
シナリオ123番
洞窟を進むと君のパーティは薄暗い広間に出た。
更に奥の道は何やら光っている。
前に歩こうとしたところ後ろから突如悲鳴が聞こえた。
A:君たちは悲鳴を無視してまっすぐ進むか?
B:後ろに戻って悲鳴の原因を突き止めるか?
みたいな感じ。
選択肢Aもしくは選択肢Bを達成するためには、それぞれ探索値が設定されており、高い探索値を出せるかは連れて行ったパーティの能力に依存する。
基本的には、達成が困難な高い探索値が必要とされる選択肢は高報酬(希少なアメジストが入手できる、とか)で、低い探索値が必要とされる選択肢は低報酬(1金を得る、とか)になっている。
更には3択もあるシナリオもあれば1択しかないシナリオもある(らしい)。
イベントは215個と大量に入っているわけですが、実はこれら全てがいきなり最初から探索できるシナリオというわけではありません。何と特定の番号の選択肢からの派生で使用されるシナリオ番号もかなり沢山入っています。
シナリオXX1の選択肢Bを選択すると、シナリオXX1からシナリオXX2に飛んで、そちらの効果や追加選択肢を新たに適用するという感じ。
こんな感じで、ストーリーの分岐の分岐みたいなことがそれなりに頻繁に起きるため、プレイする側はあっちのルートだったら一体どうなっていたんだろうと、ますますワクワクするわけです。
更にはシナリオの迷宮でしか仲間にならない特殊な能力を持った仲間たちも多数用意されており、これらを探すのもかなりワクワクして楽しめます。
ちなみに私はまだ「猫人」しか仲間にしたことがありません。
何というかこの地下迷宮探索こそがこのボードゲームの真骨頂であり、このボードゲームがこのボードゲームたる所以であり、面白さの5割以上を占めているという感じです。
このシナリオシステムのお陰で、何度も連続してやりたくなるリプレイ性の高さと中毒性があるゲームです。
当然勝ち負けを競うゲームではありますが、それよりも次はどんなシナリオが遊べるのかとシナリオを楽しみたいという想いの方が強いですね。シナリオブックだけでも普通に拡張を出して欲しいレベルです。
この中毒性はプレイしてみたらわかると思います。
このゲームを連続でプレイしてガンガンシナリオに挑みたくなります(笑)
何が起きるかよくわからないけど、とりあえずシナリオにGOする。ストーリーと選択肢を聞いてチャレンジ。これだけで不思議に面白い。
ゲームバランスとしては、地下迷宮探索をせずに地上オンリーの立ち回りでも恐らくゲームにはなりますが、そういうプレイは当然推奨されません。多少無茶をしてでも地下迷宮探索をしてランダムな報酬を得ることこそがこのゲームを楽しむ秘訣です。
地下迷宮探索は、大量のお金や貴重な物品を獲得するにも当然有効ですし、このゲームは希少価値の低い物品でも、自分が1個も持っていなければそれだけで自分にとっての価値が高くなるようにできているので、シナリオ上は安い報酬だったとしてもそれはそれで期待できます。
また、地下に建築できる建物はコスパが地上よりも1.5倍くらいは高くなっており、探索する価値は十分にあると思います。
ただ、地下建築のための土地を確保するだけなら最低探索値でも成功すればよいので、無理に4,5人送り込んで高探索値を出そうとする必要はなく、最低人数の2人でも良いというのは意識が必要ですね。
高い探索値を出したくて大量に人を送り込みたくなるのはわかりますが、シナリオによっては大量の人数投入の割には、合わない報酬しか得られないこともあります。
気になるのは、過去にプレイしたシナリオと同じシナリオ被りですが、まぁこれは流石に何度かプレイすると被ることがありますね。
前のゲームで丁度プレイしたシナリオを全くそのまま次のシナリオで同じプレイヤーがプレイするなんていうミラクルも起きます(笑)
その場合は、別の選択肢を選択して楽しみましょう。「助けない!」「逃げる!」そんな通常選択しない選択をすることが増えるでしょうが(笑)
こんな感じで地下迷宮はやはり面白いシステムです。同じようなシステムを搭載したボードゲームが出て欲しいものですが、コスト高くなってしまい敬遠されるためか似たようなゲームシステムは他には知りません。
物品システムが面白い
このゲームの大量得点の1つである「物品」ですが、これまたなんとも不思議な感じです。
この物品を自分のボードの物品トラックに配置すると毎ターンの収入が向上し、更に個々の物品が勝利点になります。しかし、8マスのトラックは左詰めで、同じ物品は同じトラックに配置しないと行けず、一度配置した物品の位置は変更できません。
つまり異なる種類の物品を集めることで、毎ターンの収益や物品1個当たりの勝利点スケールが大きくなります。例えば、1種類目は1個1点ですが、5種類集めた5種類目は1個4点にもなります。逆に言えば同じ品物を10個集めたとしても集めた種類が1つであれば1勝利点×10個で10点にしかなりません。
全ての種類の物品をコンプリートすると非常に高得点なのですがそれは至難の業で、何となくでプレイしていると大体3~5個位で終わってしまいます。
物品は、物品採取可能な建物を建てることで入手可能ですが、建物は自分が欲しいものが場に出ているとは限りません。また、アクション数が限られているため建物を建てられる回数もそこまで多くはなく、建物から資源を獲得しまくる作戦は中々難しいです。
次に物品を入手しやすいのが地下迷宮探索の報酬です。上手くいけば1度の探索で2種類の物品を獲得することもあり、大きく物品トラックを進めて毎ターンの収入と勝利点の向上が見込めます。
2,3種類の物品を狙って探索するのは価値ある探索になると思います。比較的多くのシナリオで物品を入手することが可能です。
地下迷宮探索ではアメジストのように最高レア度の物品も入手可能なのですが、このゲームは物品を全種類そろえるのは至難の業です。「あと1個!」という状況ではなく何が出ても新資源という状況であれば、異なる種類を集めるだけであれば何もアメジストのようなレア物品ではなくとも、安い魚のような物品でも同じ働きをしてくれます。
これはこのゲームで凄い不思議だと感じた点の1つですね。
折角高難易度の迷宮シナリオをクリアしたは良いが、得られた報酬が鉱石やアメジストばかりだと、1,2種類しか物品を獲得できずに物品トラックが伸びてくれません。
先ほどの例に書きましたが、最高レア度のアメジストが例え10個手に入ったとしても、物品がそれ1個しか無ければ10点にしかなりません。例え、レア度が低くても異なる物品が5種類1個ずつあれば、5個しかありませんが11点になります。
この個々の物品のレア度とそこから得られるものが必ずしも一致しない点が、何とも直感的ではなく不思議に感じました。
地下迷宮探索で低レア度だが、自分が持っていない資源が得られると、それだけでテンションが上がります。
このゲームにはプレイヤー間の持ち物を売買できるシステムが入っているのですが、全ての物品を集めるにはこのシステムの活用が不可欠な気がします。
3金以上の言い値で売買するという、最初は取ってつけたようなシステムだと思っていましたが、これまた多人数プレイ時は上手く作業していて面白いですね。例え安いキノコ1個だとしても持っていないプレイヤーにしてみると非常に価値のある物品ということになります。
少人数プレイより多人数プレイの方がこの売買は活発になって面白いですね。
2人プレイだとこの売買の機会は全くありませんでした(笑)
3人プレイだと普通に売買が活発になって、得点トラックもかなり伸びますね。
建築物が面白い
このゲームの建築は勝敗をわける重要な要素の1つです。
建築物によって勝敗が決まってしまうことは当然ながら多い気がします。
序盤はワーカーを増やしてアクション数を増やしたいですが、ワーカーを休息させるためにはベッド付き建物が必要になります。そのベッド付き建物が場に出ていて自分のターンで買えるかというのは序盤は非常に重要になります。
また、安いですが特殊カードである鍵付き建築物は、何れも中々良い特殊能力を持っているため、これらの建築も重要になってきます。
そして終盤。勝利に影響するのは勝利点特化の星付き建築物です。これらは勝利点以外の価値を持たず10金以上する高価な建築物ですが、1個で10点や20点を簡単に出すことが可能です。このゲームは50点いけばかなり良い方なので、この建物1つの強さがわかるでしょうか。
コストが10金以上で高価と言いつつも、2ターン分の収入があれば買えてしまいます。探索に人を割いて1ターン丸々お金を使わないことは良くあるので、2ターン分の収益が手元に溜まっていて買えてしまうことも多いですね。
この特殊勝利点の建築物は、どれも強力なので買わないと勝てない気がします。何度プレイしてもこの高得点建築物を買わなかったプレイヤーは首位争いに絡めない感じでした。
全員が買えばいいというのはその通りなのですが、個人的にはこれを買わないでも勝てる選択肢がある方が好みですね。
という感じで建築物の建築は非常に重要です。
3人以上のプレイの方が建築物がガンガン変わっていくため、早い者勝ち感と新しい建物がどんどん出てくる感覚を楽しめます。建築に関しても3人以上プレイの方が楽しいでしょう。
ゲームの長さについて
このゲーム見た目以上に軽いゲーム感です。
下手したらカタンなどの中量級よりプレイ感は軽いんじゃないだろうか。難しそうだと思っている人がいたらそれは勿体ないので是非プレイしてみて欲しいです。
手番の選択肢が5個しかないわけですが、やはりプレイ感は見た目以上に軽いです。
選択肢で悩ましいのは、どの建築物を建築するか位で、それ以外は実行したら1金貰って終わりとか、物品1個採取して終わりとか、その程度なので時間のかかりようがありません。
ラウンド数も7ラウンドで終わりですが、このラウンド数だとルールが間違っているんじゃないかってくらいあっさり終わります。
初期村人は3人ですが、ベットも人数分用意して毎ターン働かせるには最後は6,7人が限界です。
7ラウンド目でも1プレイヤー1ターンに6アクション位しかできません。
建物を建築して、地下迷宮の探索も進んで、人も増えてきて、さあこれからだ!っていうそういう拡大再生産の中盤の頭位の状態で、ふと終わってしまいます(笑)
あれ?もう終わりなの?っていう。
これが程よい軽さでもう1回ってなりやすい要因の1つかなと思います。なのでプレイ感はかなり軽いため重ゲーやって疲れた…っていう感じは微塵もありません。
これも何とも不思議な感覚何ですよね。もうちょっとやらせてよっていう想いと、丁度いい位で終わったという想いと、それらが絶妙なタイミングで終わり、またすぐにプレイしたくなります(笑)
地下迷宮も多くて5個位しか探索出来ない気がします。勿論もっと沢山探索するのは可能ですが、意識しないと3個位になる気がします。そのため3人プレイだと10シナリオちょいしかプレイしないことになります。
少人数の場合はもう1,2ラウンド増やしても良いんじゃないかっていう気がしますね。今度試してみたいと思います。
終わりに
2020年6月発売の期待の新作「アバブ&ビロウ」のレビューでした。
アバブ&ビロウ遂にプレイ出来ましたが、非常に楽しかったです。
色々書きましたが、ストレートに万人受けするおすすめボードゲームだと言えます。プレイ感は非常に軽いし、物語は気軽に楽しめます。
ストーリーテイストが嫌いな人がいるかはわかりませんが、いないと仮定するなら間違いなく万人受けするでしょう(笑)
探索毎に違うシナリオが待っていてサイコロを振るだけなのですが、パーティで冒険にチャレンジしている感が本当に凄いです。これは本当にすごい新鮮なワクワク感が得られます。似たようなシステムのボードゲームが出たら是非やってみたいですね。
ただ、こういうと失礼かもしれませんが、地下迷宮探索のシナリオが無かったとしたらこのゲームの魅力は半減なので、そういうものだと思って遊んだほうが良いでしょう。
ワーカーを増やして、物品集めて、建築物建てて、収入増やして、勝利点稼いで・・・をするだけなら他に幾らでも似たような高評価なボードゲームが存在するからですね。
中量級で何度も遊びたくなるボードゲームがやりたいのであればお勧めできます。地下迷宮探索は1日何度もやりたくなる位には中毒性があります(笑)
実力依りだと思っていましたが、迷宮探索もあるので運もそれなりに絡むボードゲームです。また、勝敗関係なく地下迷宮探索はそれ自体が楽しいので、ボードゲーム慣れしていない方でも勝敗気にせず間違いなく楽しめるでしょう。
ただ、見た目以上にプレイ感は軽いので、ずっしりとガチゲー、重ゲーをやりたいという目的の人には合わないですね。そういう人は大人しくテラフォやガイアなどをやっておきましょう。
プレイ人数は2人から楽しめますが、間違いなく3人以上の方が楽しいでしょう。売買システムは2人だと使いづらいですし、地下探索のバリエーションも3人の方が盛り上がります。
2人プレイしかしたことない方は、可能ならぜひ3人以上のプレイをやってみましょう。2人プレイより楽しくなること間違いなしです。
以上、ゲームブック調の不思議なボードゲーム「アバブ&ビロウ」のレビューでした。
ボードゲーム好きなら絶対に一度は体験しておいたほうが良いこのボードゲーム。
気になる方は是非チェックしてみてください。
スポンサーリンク