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Ostia Pirates:オスティアの海賊拡張のボードゲーム紹介とレビュー

今回は重量級ボードゲーム「オスティア」の海賊拡張(Ostia Pirates)を紹介します。

オスティア海賊拡張(Ostia Pirates)は、オスティア基本セットのボードゲームに、海賊船やプレイヤー固有能力など複数の拡張要素が追加される拡張です。

うちばこやさんから2024年2月27日にキックスターターでの予約が開始されました。

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幸いにも本作を事前に遊ばせていただく機会があったので記事にしました。

本記事の紹介内容は、最終製品版とは仕様が異なる可能性がある点ご注意ください。

Ostia Piratesのキックスターター情報

オスティア海賊拡張(Ostia Pirates)は、うちばこやさんから、2024年2月27日にキックスターターで予約開始されました。

既に1500人以上が出資中です。流石すぎる。。。

うちばこやさんの素敵すぎるコンポーネントの作品のファンは多いんじゃないでしょうか。

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Ostia Piratesの新要素

オスティア海賊拡張では、大きく分けて以下の4つの新要素が追加されます。

新要素説明
①海賊船

プレイヤーの行く手を阻む海賊船との戦い。
②トラヤヌス市場

汚名キューブ(失点要素)が増減するイベントの発生。
③出身地と後援者

プレイヤーの「固有能力」と「固有勝利点」の追加。
④オスティア市街

「建築」時にオスティア港の代わりに「建物」を配置してボーナスを獲得。

新要素①:海賊船

海賊船は、マップ上に配置されてプレイヤーの行く手を阻む新要素です。

海賊船のいるマスに侵入するには、規定値以上の「武器」が必要になります。

オスティアでは、基本的には「終着地タイル」を目指して奥に奥に進んでいきたいわけですが、これまでのように移動力のみで簡単に交易タイルに侵入することが出来なくなります

海賊船の初期配置

海賊船は全8隻配置されます。「初期貿易タイル(黄色のタイル)」以外の全ての「交易タイル(赤いタイル)」の付近に配置されます。

一定以上の武器を持っていないプレイヤーは、その交易タイルに侵入することが出来なくなります。

いずれかのプレイヤーが海賊船を撃退したからといって、他のプレイヤーがその海賊船と戦わなくても良いという風にはなっておらず、タイルに侵入するためには全プレイヤーが等しく海賊船を突破する必要があります。

海賊というか江戸時代の関所みたいなイメージでしょうか。

海賊船には、最初に遭遇する弱い「黒の海賊船」と、終着地タイルの1つ前の交易タイルを守っている強力な「赤の海賊船」の2種類がいます。

オスティアは、基本的には船をドンドン先に進めた方が高得点になりやすくできているため、この拡張を入れると上手く計画的にコマを進める必要が出てきます。

追加プレイヤーボード

各プレイヤーに本拡張の新しいボードが1枚ずつ配られます

このボードは主に各プレイヤーのリソース管理に使用されます。

新リソース:武器

海賊のいる貿易港タイルのマスに侵入するには「武器」が必要になります。

「武器」は、オスティアの海賊拡張で追加される新リソースです。

他の資源同様に、武器リソース置き場に置かれたキューブ1つが武器1の代わりになります。

このリソースは、海賊を撃破するために使用すると消費される消耗品です。

ちなみに、武器は他の資源と違いお金との3:1交換が出来ません

海賊船の戦闘力ですが、「黒い海賊船」は常に武器2で突破可能、「赤い海賊船」は上記のトラックの進度に応じて必要武器が4~6まで変動します。

武器リソースを得る方法は2種類あります。

武器を得る方法1:お金で武器を買う

本拡張では、「交易」アクションで、「お金で武器を買う」ことが出来るようになります。

支払うお金1016
得られる武器

他のアクション同様に、一度に大量の武器を得るためには、大量のお金が必要になります。

ここで得られた武器リソースは、海賊船との戦闘で使用された場合、消費されて無くなります。

これがあるため、交易アクションは非常に重要性が増しています。

武器を得る方法2:兵士を雇う

この拡張では、フリーアクションで「兵士」を雇うことが出来るようになりました。

兵士を雇うことで、武器を常時得ることが出来るようになります。

兵士1で武器1の代わりになり、最大4人まで雇うことが可能です。

また、兵士を雇うたびに、海賊船の撃破報酬である「宝箱」1個当たりの勝利点が増えていきます

武器リソースとは異なり、兵士は海賊撃退のための永続武器になるので、兵士の確保はこの拡張では比較的重要で強力なアクションです(説明書にもヒントとしてその重要性が記載されています)。

宝箱について

海賊船を撃退することで、報酬として宝箱を得ることが出来ます。

「黒い海賊船」からは宝箱1個、「赤い海賊船」からは宝箱2個が得られます。

得られた宝箱は新しい個人ボードの上に配置しておき、ゲーム終了時に、兵士を雇った数に応じた勝利点になります

宝箱1個4~8勝利点になるため、他の勝利点要素同様に、宝箱はゲームの勝敗に影響の与える非常に大きな勝利点になります。

新要素②:トラヤヌス市場

トラヤヌス市場は、海賊船の強度とイベントの発生を管理する新ボードです。

プレイ人数に応じた宝箱と、ランダムなイベントタイルを、トラヤヌス市場に配置します。

▼新要素の1つ「イベントタイル」

▼イベントタイルと宝箱をトラヤヌス市場ボードに配置

宝箱の配置数はプレイ人数によって異なります。画像は2人プレイ時のもの。4人プレイだと全部のマスが宝箱で埋まります。

宝箱はゲーム終了条件の1つにも追加されるので、ここの数は間違えないように注意が必要です(経験談)。

イベントの発生

海賊船を撃破した際に得られる宝箱は、このトラヤヌス市場ボード上から獲得します。

1エリアの宝箱が全てなくなった場合、その下に置かれているイベントタイルのイベントが発生します。

上記画像のイベントの場合「建物アイコンが最多のプレイヤーは汚名キューブ1返上。最小のプレイヤーは汚名キューブ1獲得」となります。

イベントタイルは全て、後述する「汚名キューブ」の増減に関わるものになっています。

汚名キューブ

本拡張の新しい要素として「汚名キューブ(黒いキューブコマ)」が登場します。

汚名キューブは、ゲーム終了時に汚名キューブ1個につき7勝利点失う、という失点要素になっています。

汚名キューブは、このイベントによって増減するほか、フリーアクションとして7金支払うことで汚名キューブ1を取り除くことが出来ます。

宝箱は左のエリアの左上から順に獲得していくのですが、タイミングよく上記汚名キューブ返却アイコンの書かれた場所の宝箱を獲得することで、汚名キューブ1を返却することが出来ます

汚名キューブは、全然気にせずプレイしても良いのですが、1個失点7はつみ重なるとそこそこ無視できない失点量なので、ある程度は減らす方向でプレイした方が良いです。

ただ、一方で何が何でも汚名キューブ返上を優先するようなプレイは、プレイの方向を歪めてしまうため、ほどほどにした方が良いです(と説明書にもアドバイスが書かれています)。

海賊の戦闘力について

海賊の戦闘力は、トラヤヌス市場ボード上に残っている宝箱によって決まります

黒海賊船は常時2ですが、赤海賊船は4から始まり、5、6と増えていきます。

ゲーム後半になるにつれて、赤い海賊船がいる終盤の交易タイルに侵入するのが困難になってくるということですね。

新要素③:出身地と後援者

出身地と後援者は、プレイヤー固有能力とプレイヤー固有ミッションを与えてくれる新要素です。

「出身地」「後援者」共に、ゲーム開始時に各プレイヤー2枚ずつ配布されて、好きな組み合わせを選択します。

上記画像の組み合わせだと、能力は以下のようになります。

名前汚名能力
出身地:ペトラ1個移動終了時:移動を終えた各中継港について、示されている報酬を追加で1回獲得。
後援者:ルシウス2個終着地への到達時:誰の船コマも無ければこの上にキューブ2個置く。
得点計算時:建物アイコン×キューブ数×1勝利点獲得

ペトラの能力を得ると、中継地点は通常「木材2」や「麦2」など同一資源が2つもらえますが、それが「木材4」「麦4」など倍増する凄い能力です。どう考えてもズルいです。

ルシウスの能力を得ると、終着地へ他のどのプレイヤーより早く到達すればするほど、最終勝利点が増えることになります。

こんな感じで、かなり強力な特殊能力1つと、大きめな勝利点要素を得ることができます。

どちらも大きくオスティアのゲーム性に影響する要素となっています。

ちなみに能力の強弱によって、ゲーム開始時に汚名キューブを得る個数が変わってきます。上記組み合わせだとゲーム開始時に3個の汚名キューブを得てのスタートとなります。

どちらの新要素も面白いですが、特に「出身地」は大体がズルい能力になっており、プレイヤー毎のプレイ中のゲーム感をガラッと変えるので非常に面白いです。

出身地カードの例

名前汚名効果
アテナエ1個注文カード1枚獲得する毎に、その中央に書かれている資源を追加で2個獲得する。
エフェソス0個生産で獲得される資源数が2個以下の場合、追加で1個生産する。
タラッコ1個監督アクション実行時に即座に3金獲得する。

出身地カードはどれも大体ズルくできています。

後援者カードの例

名前汚名キューブ効果
トラヤヌス4個船コマが6隻あるエリアからマンカラ開始した場合、汚名キューブ1返却。汚名キューブが1個もない場合、褒賞2+アンフォラ1獲得。
アキリウス・アティアヌス2個5体目の兵士雇用が可能。コストは武器3、木3、麦3、石3。
5体目の兵士を雇った場合、宝箱1個12点になる。
タキトゥス4個全体栄誉カード1枚獲得すると、汚名キューブ1返却。
得点計算時、全体栄誉カード1枚につき8勝利点追加。

後援者カードは、上手く使えば非常に強力な勝利点になるものばかりです。無視できないレベルで高得点をたたき出すものもあります。

新要素④:オスティア市街

オスティア市街は、建物建築時のボーナスを得ることが出来る新要素です。

建築時に、タイルに書かれている資源を支払うことで、建物タイルを配置することが出来て、そこのタイルに書かれたボーナスを得ることが出来ます。

いずれのマスも先着1名の早取り要素になっています。

例えば、このマスに建物タイルを配置するためには「麦2」が必要ですが、即時に「武器3」を得ることが出来ます。

例えば、このマスに建物タイルを配置するためには「石2+1」が必要ですが、即座に「(武器以外の)全資源2」を得ることが出来ます。

他にもゲーム終了時の勝利点になるタイルもあります。

比較的強力なものが多いので、建物を建てる重要性が増しています。

基本セットのオスティア港ボードに配置すると建築タイルボーナスも引き続き便利で強いですが、この拡張のオスティア市街のボーナスも普通に強く、建築時の良い選択肢になっています。

ゲーム終了条件の追加

宝箱が全てなくなった場合もゲーム終了条件となっています。

海賊船を倒していると宝箱は勝手にドンドンなくなっていくため、それなりに終了トリガーになることが多いです。

Ostia Pirates:レビュー

オスティア海賊拡張を実際に遊んでみたレビューです。

ただでさえ面白かったオスティアが更に面白い方向にバランス調整されている拡張でした。

海賊船との戦いが熱い

海賊船との戦いには、新しいリソース「武器」が必要となります。

この海賊船との戦いが熱いです。

武器を手に入れるにはそれなりに時間とコストがかかりますが、交易タイルへの「移動」と「宝箱」という2つの報酬を与えてくれます。

これまではノーコストで侵入出来ていた遠方の交易タイルに簡単には侵入できなくなり、遠隔地交易タイルへの移動のありがたみが増すようになっています。

海賊船を倒すとそれだけで宝箱がガンガン入るようになっていて、1個4~8勝利点というかなり大きい得点になるため、宝箱を奪い取るのが楽しいです(笑)。

最終的に50勝利点以上稼ぐことも珍しくはなく、オスティアにおける大きな勝利点要素の1つとなりました。

海路を簡単に移動できなくなり、移動がやや弱体化

この拡張では海賊船の登場により、海路を簡単には移動できなくなっており、移動が弱体化しています。

基本セットでは移動力を払うことでガンガン船を先に進めることが出来ましたし、海路には早取りのトークンや終着地タイルが存在しているので、移動は比較的強いアクションでした。

海賊拡張では、終着地タイルまでには必ず2隻の海賊船を突破する必要が出てきます。闇雲に移動するだけで良かったのが、海賊船の前で進行が妨害されることになります。

もちろん移動は引き続き重要なアクションなのですが、移動ばかりではすぐにプレイが詰まるようになっています。

交易アクションの用途が増えて強化

交易アクションが必須のアクションへと強化されました

お金を資源に変換するのが「交易アクション」ですが、基本セットでは、他のアクションに比べるとやや弱いアクションの印象でした。

「全体栄誉カード」を得るためには必要なアクションですが、お金と資源の交換のアクションはそう何度も実行するものではありません。

海賊拡張では、海賊船を撃退するために必須の「武器」を得るためには、この交易アクションを実行する必要が出てきました。

海賊船を撃退しないプレイは、基本的には上手くいかない(と思われる)ので、交易アクションは何度も実行が必要な必須アクションとして生まれ変わりました。

出身地と後援者によるアッパー調整

ルール説明のところにも書きましたが、「出身地」と「後援者」の2つの新要素が非常に強力です。

非常に強力で、かつ、導入必須レベルで面白いです。

出身地は大体がズルい能力が付与されるようになっており、特殊能力により、通常プレイより資源が大量に入ってくるようになっています。

これにより、プレイヤー間のプレイの違いがかなり大きく出るようになっていて、プレイヤー毎にプレイの方向性が変わってきます。

最初からコビタ船2隻追加とか、中間タイルからの資源が倍増とか、どうなってるんすか・・・(笑)。

遊んでいる方はモリモリ資源が入るようになるので、非常に楽しい追加要素になっています。プレイヤー同士のハンデ戦に良いかもしれません(笑)。

「後援者」ルールの方もプレイ中はそこまで干渉しない要素ですが、ゲーム終了時の勝利点にそこそこ大きく影響する要素になっています。

そのため、ある程度は選択した後援者に従ったプレイをしていく必要が出てきます。この辺もプレイ中のプレイヤー間の行動選択の違いに表れてきて面白いです。

こういうプレイヤー特殊能力って、種類があればあるほどリプレイ性も増して面白いわけですが、キックスターターのストレッチゴールなどでもこれらの新タイルが追加されていきそうなので、これは是非期待していきたいところですね。

オスティア市場で建築アクションの選択肢が増えて楽しい

オスティア市場が建築アクションの選択肢の1つとして追加されています。

オスティア市場は、純粋に建築の選択肢が増える要素で強いです。

即時効果系のものは、武器3獲得や全種類の資源を2ずつ獲得など、序盤の強化に最適なアクションになっていますし、勝利点を増やす系の建物は、終盤までに確保しておくとゲーム終了時に中々良い勝利点になってくれます。

オスティア市場は早取り要素でプレイヤー間のインタラクションの1つとなっています。出遅れると強い効果は根こそぎ持っていかれて最後は結構不毛な大地になっています(笑)。

もちろんあくまでも選択肢の1つであり、基本セットのオスティア港への建築もこれまで通り便利な効果になっています。どちらを選択するかは状況と選択次第ではないでしょうか。

建物を沢山建築するには、当然船が到達した交易タイルを増やす必要があり、そのためにも海賊船の撃破が必須となってきます。

まとめ:オスティア好きなら外せない拡張

総括するとこの拡張は「オスティア好きなら外せない拡張」です。

4つの新要素はどれも面白く、オスティアを遊ぶのであれば、間違いなく入れた方が良い拡張です。

オスティアは、基本セットで完成しているシステムでしたが、その基本セットの面白さはそのままに、更に面白くなるようバランス調整されています。

「移動」「造船」「建築」「交易」など既存のアクション同士が密接に絡み合っていた中に、新たな「海賊と武器」の要素が絡むようになり、無視できない要素となっています。

海賊船にはしっかり対策が必要になっており、海賊船の処理を適当に後回しにすると、移動や建築など様々な要素でドンドンおいていかれます(経験談)。

海賊船の登場により、悩ましくも面白かったマンカラシステムが、更に悩ましく面白くなりました。

「出身地」と「後援者」に至っては前述の通り強力すぎる要素になっており、上手くかみ合ったときの爆発力は、すさまじい資源と高得点をたたき出します。

これらの要素は、上手く能力を発動出来た際のプレイ時の気持ちよさに加えて、高いリプレイ性にもつながっています。遊んでみるとわかりますが、これは全能力使ってみたくなります。

各種コンポーネントもいつも通り最高の出来栄えでプレイも盛り上げてくれます。宝箱が見た目通りそのまま大きな勝利点になるのが個人的には特に好き。

ちなみに、この拡張の1つの要素だけを入れるのは出来なくは無いですが、それぞれの追加要素が絡み合っているため、可能なら全て入れてしまう方が良いですね。

オスティアが面白いと思っている方は、一度導入するとまず間違いなく外せなくなる拡張でおすすめです。

関連サイト

>> Ostia Pirates キックスターター募集中

>> Ostia Pirates公式サイト

>> うちばこや公式サイト

>> オスティア:基本セットルール紹介とレビュー

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