今回はホビージャパンさんより2021年3月に発売されたボードゲーム「スモールワールド・オブ・ウォークラフト(Small World of Warcraft)」のゲーム内容を紹介していきます。
ボードゲーム「スモールワールド・オブ・ウォークラフト(Small World of Warcraft)」について、どういうボードゲームなのか、所感とルール紹介を交えて説明していきます。
スモールワールド・オブ・ウォークラフト 基本情報
デザイン | System: Philippe Keyaerts Art: Miguel Coimbra |
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プレイ時間 | 約40-80分 |
プレイ人数 | 2-5人 |
対象年齢 | 10歳以上 |
版元 | Days of Wonder |
販売 | ホビージャパン |
発売日 | 2021年3月 |
希望 小売価格 | 7,260円(税込) |
スモールワールド・オブ・ウォークラフト ボードゲーム概要
このボードゲームには2つの要素が入っています。「スモールワールド」と「ワールドオブウォークラフト」ですね。
「スモールワールド」は、過去にホビージャパンさんから2009年に発売されているボードゲームで、異なる種族が陣取りを行い、領地争いをして得点を稼ぐゲームです。発売年こそ10年以上前ですがかなり完成されたシステムで、個人的に陣取りシステムのボードゲームと言えばこの作品という感じ。
↓元祖「スモールワールド」
一方で「ワールドオブウォークラフト」は、世界で最もプレイ人数の多いMMO RPGになります。一時期日本で大流行した「ラグナロクオンライン」や今でも流行っている「FF14」などと同じ系統のオンラインゲームですね。WoWという略語で親しまれています。
↓世界一のMMOPRGであるWOW
MMO RPGにも流行り廃れがあれど、「ワールドオブウォークラフト」は、今なお世界中のゲーマーを虜にしているMMO PRGと言って良いと思います。発売はBlizzard社でハクスラの元祖名作「ディアブロ」からシャドウバースの元ネタになっている「ハースストーン」など数々の名作を世に送り出している会社です。
それらが合体したのが、この作品「スモールワールドオブウォークラフト」ということになります。人気ゲームとのコラボ作品という感じでしょうか。「世界樹ドミニオン」などボードゲームと既存IPの融合は過去少なからずありましたが、どこまでファンのニーズにこたえたものになっているか楽しみですね。
元々の「スモールワールド」の拡張という位置づけではなく独立セットです。そのため「スモールワールドオブウォークラフト」はそれ単体で遊ぶよう想定されています。
スモールワールド・オブ・ウォークラフト ルール概要
スモールワールドは、名前の通り「狭い世界」での領土争いのボードゲームです。
各プレイヤーは、様々な種族を選択して操り、土地に領有権を主張するためのタイルを置いていきます。
自分が支配している土地からは毎ターンお金=勝利点が得られます。基本的には最も領地を沢山支配している方が沢山の勝利点が得られるようになっています。
追加タイルが必要ですが、他のプレイヤーの土地にタイルをどけて侵略することも出来ます。世界は狭いので自分の得点を増やしたい場合は、自ずとほかのプレイヤーにちょっかいを出していく必要があるわけです。
↓タイルを配置して領土を確保していく
各種族は特徴を持っており、例えば、山を支配していると余分に勝利点を貰えるとか、配置タイルが他の種族よりも多いとか、タイル配置時に防御力を持つ城塞を配置できるとか、侵略時に有利になる、など種族によって能力は様々です。
更に、各種族は特殊パワーをランダムに持って生まれます。例えば、敵の領地を奪うと勝利点が貰える「バトルマスター」だったり、畑を支配すると追加の勝利点が貰える「農家」だったりします。
この種族と特殊パワーの組み合わせで、陣取りの立ち回りが変わってくるのが「スモールワールド」の最大の特徴です。
例えば「バトルマスターのゴブリン」とか「農家のゴブリン」とか「鍛冶屋のノーム」とか、かなりの組み合わせが存在して、高いリプレイ性を生みだしてくれます。16種族と20のパワーなので相当な組み合わせが楽しめます。
↓特殊パワー「守りの固い(Deffensive)」で種族が「ノーム」
「守りの固い」「ノーム」は、タイルが5+5=10個配置可能で、「防御塔の配置」スキルと「任意のエリアを空爆する」スキルの2つを持っています。このような形でかなりの数の組み合わせが楽しめます。
一度配置した種族タイルは基本手元に戻ってこないため、タイルを配置しきると領地の拡大が途中で止まることになります。その場合、その種族の全能力を失う「衰退」というアクションを行うことが出来ます。そうすると、能力は失いますが、その種族タイルが置かれた支配地は(ほかのプレイヤーに征服されるまでは)自分のものになったままで、更に、新しい「種族」を自分の陣営に迎え入れることができます。
特殊パワーを持つ種族の能力を駆使して他プレイヤーと競って勢力を拡大し、拡大しきったら衰退し、別の特殊パワーを持った種族を選択して再度拡大していく、これをゲーム終了まで繰り返すわけです。
勝利点を沢山獲得したプレイヤーの勝ち。
ここまでがスモールワールドのルールですが、「ワールドオブウォークラフト」テイストのオリジナル要素が色々入っています。
「ボード」が一新されています。通常のスモールワールドでは固定だったマップが、今作ではある程度自由に作り変えることが出来るようになりました。
「種族」が一新されています。基本的にはWoWの世界観の種族で、同じ名前の種族も出てきますが能力が全然異なります。「ヒューマン」のような一般的な種族でも、見た目も全然能力が違って驚きます(笑)。良い感じに調整されていると思われます。
「特殊パワー」が一新されています。こちらは種族ほどは変わっていないようで、森を支配していたらボーナスとか、基本的な能力のものはある程度残されているようです。
「ホード」「アライアンス」「中立」の概念があります。全ての種族はこの3つの何れかに属しています。原作WoWから持ってきた概念で、この世界は2つの勢力が敵対しているという構造になっています。敵対種族を倒したら1ターンに1度だけ勝利点が1貰えます。
4種類の「アーティファクト」が追加されます。これはアーティファクトのある土地を支配しているプレイヤーのみが使用できる特殊な能力になります。「フロストモーン」などBlizzardファンならニヤリとするような、原作でも登場するアーティファクトで、侵略に必要なタイル数を減らしたり、防御に使用する盾を手に入れたり、効果は様々です。
9種類の「伝説の地」が追加されます。こちらもアーティファクトと同様にそこを支配する種族が恩恵を受けられるものです。毎ターンボーナス勝利点が貰えるものだったり、征服のためのコストが下がったり、様々です。アーティファクトと伝説の地は各ゲームでランダムに使用されます。
スモールワールド・オブ・ウォークラフト 所感
スモールワールドは、陣取りゲームとしてかなり完成度が高く、特殊パワーと種族の能力の組み合わせが楽しすぎるボードゲームです。
個人的に陣取りゲームは、土地の苦しい奪い合いという感じがして、楽しさより苦しさの方が強くて苦手な意識があったのですが、このスモールワールドに関して言えば全然そんなことは無いですね。
例え負けてもかなり楽しいし、またやりたくなるタイプの良いゲームです。
確かに他プレイヤーと狭い土地の奪い合いにはなるのですが、ゲームシステム上一方的にやられるというようなことはなく、大体奪ったり奪い返されたりと均衡状態になるので、その軽さが非常に良い点だと思います。
また、種族と特殊パワーの組み合わせは圧巻の一言で、組み合わせ次第で、能力による得手不得手も変わってきますし、置けるタイルの数が15個になったり、下手すると3個になったり、それぞれ持っている能力が全く異なるものになるため、盤面に応じた選択をしていくのが面白いですね。
私のように能力の多様性にワクワクできて、多様な能力を色々使ってみたいと考える方なら間違いなくハマると思います。
若干話逸れますが、私はゲーム内の多様性は素晴らしいと思うのですが、そこまで重視しない人もいるんですかね。例えば、テラフォーミングマーズの企業も沢山あるため、私は毎プレイ別の企業を使って全ての企業を使ってみたいと思う方なのですが、中には出来れば鉄板企業の「タルシス」や「エコライン」のような強企業しか使いたくないというプレイヤーも一定数いるのかもしれません。
16種族に20パワーなのでこのゲームの多様性はかなりのもので、毎回同じ展開になることはほぼ無いでしょう。これが兎に角魅力的。
更にワールドオブウォークラフトのテイストが入ることで、特殊な能力を持った地形やアーティファクトも増えて、ますます戦略的になっています。
スモールワールドでは、特殊地形もありましたが、そこまで土地に大きな違いはなく、東西南北どこからでも好きな土地から勢力拡大するで良かったのですが、今作では、伝説の土地やアーティファクトがあるので、侵略地はそれなりに考えてプレイする必要が出てきます。効果の強い伝説の土地は取り合いになることも多いです。
そういう意味だと、重要拠点の侵略しあいが増えて、インタラクションが基本セットより増す感じになっています。プレイヤーによっては得点効率度外視して意地でも特定の伝説の土地を取り合うようなワイワイ要素も増えました。
ゲームバランスに関しては、あのBlizzard社が協力している作品なので、かなり良く仕上がっていると思います。
公式だと基本セットと混ぜて遊ぶ前提になっていない、と書かれていますが、基本システムは同じなので普通に混ぜて遊べなくはないとも思います。バランス面はおいておいてですが。
スモールワールド・オブ・ウォークラフト 内容物
- ゲームボード(両面印刷) 6枚
- 『ワールド・オブ・ウォークラフト』の種族(対応するバナーとトークン)16種
- 特殊パワーバッジ 20枚
- 伝説の地 7枚
- アーティファクト 5枚
- 山岳地帯 10枚
- マーロック 15枚
- ウィスプの壁 9枚
- 調和トークン 4枚
- 爆弾 12枚
- 勇者 1枚
- 砦 10枚
- 軍事目標 2枚
- 獣 5枚
- 監視塔 6枚
- ラウンド表示表 1枚
- ラウンドマーカー 1枚
- 勝利コイン 110枚
- サマリーシート 5枚
- 増援部隊ダイス 1個
- ルールブック 1部
- チーム戦選択ルールシート 1枚
スモールワールド・オブ・ウォークラフト のスリーブ
スモールワールドはカードゲームではないので、スリーブは不要。
スモールワールド・オブ・ウォークラフト 紹介のあとがき
以上、ボードゲーム「スモールワールド・オブ・ウォークラフト」のゲーム紹介でした。
スモールワールドはそれ自体かなり完成度の高い、面白要素が詰まったボードゲームです。個人的には手放しでおススメできるボードゲームの1つですね。
「スモールワールド」が未プレイの方は、これを機に、様々な要素が追加された「スモールワールド・オブ・ウォークラフト」で遊んでみるのは如何でしょうか?
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ソロプレイ中なですが特殊パワーの「守りの堅い」がまじで理解できないですが効果をどう解釈されているかお教えいただければと思います。
(支配する畑の隣接地域のうち、より多く支配している種族(なんでも可)がいる地域に監視塔が置けて、種族の少ない畑から一個取り除く?)て感じに困惑してます
>ドンキさん
自分が支配している「畑」で、かつ、その「畑」に隣接する土地の支配数が自分がトップだった場合に「監視塔を置く」だと思います。
もし監視塔を置いた畑の、隣接地のマジョリティを失った場合は、その「監視塔」が取り除かれると。
なので、監視塔のある土地を侵略したい場合は、まずはその周りの土地から攻めてマジョリティを失わせて、監視塔を排除してから攻める必要が出ることになります。
返信ありがとうございます!畑の周辺マジョリティであればパワーも征服も受け付けないんですね!めちゃめちゃガード堅いなって印象受けました。ぼどろぐ見て買ったんですけどソロで2人プレイしててとても楽しんでるので買ってよかったなーって思ってます。
もう一点、征服された時の処理なんですが、種族トークンが2個以上あるとこが征服された場合は1個廃棄して、残りは持ってい置いて、その手番のプレイヤーの終わりに再配置する、であってますか?自分の手番が回ってきてから再配置するのではないんだな、とルルブ読んで思ってます
>ドンキさん
>ぼどろぐ見て買ったんですけどソロで2人プレイしててとても楽しんでるので買ってよかったなーって思ってます。
ぼどろぐ参考に頂きありがとうございます。
そう言っていただけると記事を書いた私も嬉しいですし、日本語化したホビージャパンさんはもっと嬉しいと思います。
私はソロ2人対戦したことないですが、複雑な管理は不要なのでプレイしやすいかもしれませんね。
>征服された時の処理なんですが、種族トークンが2個以上あるとこが征服された場合は1個廃棄して、残りは持ってい置いて、その手番のプレイヤーの終わりに再配置する、であってますか?
はい、ルールブックに書いてある通りそれで合ってますね。3人以上のプレイ時に攻められづらくするためのルールかと思います。
遅ればせながら買いました!
何回かプレイしました。良く出来たゲームで面白いですか、結構、能力ごとの強弱の差が大きいですね。
特にフォーセイクンという種族がやたら強いので、マニュアルを読み違えてないかとBGGのフォーラムを確認したら、何かぶっ壊れ性能の種族みたいですね。
2人プレイだと、この種族を取ったほうが大抵勝つので、ターンごとの能力発動は1回までのハウスルールを採用してます。
>アルカナさん
コメントありがとうございます。
スモールワールドオブウォークラフト面白いですよね。
上手く面白くまとまっていると思います。
フォーセイクンそんなにぶっ壊れ性能何ですか。敵倒したら味方のゾンビになるやつですよね(笑)
前やったときは大量にチップが用意されているフォーセイクン強そうだといわれつつも、終盤だったので結局使われずで強さがわからずじまいでした。