今回はホビージャパンさんから発売されたボードゲーム3000人のならずものを紹介していきます。
その名の通りならず者が3000人登場するという凄いボードゲームです。
実際に遊んでみたのですが、予想以上にかなり面白い私好みの作品でした。
今回は「3000人のならずもの」がどういうボードゲームなのか、ルール紹介とレビューになります。
3000人のならずもの基本情報
デザイン | System: Corey Konieczka Art: David Ardila、Matijos Gebreselassie |
---|---|
プレイ時間 | 約60-90分 |
プレイ人数 | 2-4人 |
対象年齢 | 12歳以上 |
版元 | Unexpected Games |
販売 | ホビージャパン |
発売日 | 2022年10月 |
希望小売価格 | 7,150円(税込) |
システムデザイナーさんは「コリー・コニエツカ」さん。
あまり馴染みのないデザイナーさんのようにも思いますが、この方はあのクトルゥフシリーズで有名な「ファンタジーフライト社」で、あの「エルドリッチホラー」などを手掛けたベテランデザイナーさんです。
ファンタジーフライト社は「エルドリッチホラー」シリーズを代表とするアメリカのボードゲームメーカーで、運要素強めで要素てんこ盛りのまさにアメリカンなクトルゥフ系ボードゲームを作っていたのですが、このコロナ禍で色々あったようでめっきり話を聞かくなりましたね。
「コリー・コニエツカ」さんは、そんな色々あったファンタジーフライト社から独立して、今は別のボードゲーム会社でデザイナーをやられているということです。
直近発売された作品だと「ザ・イニシアティブ」や「開廷!脳内裁判」などがこの方の作品で、今は謎解き推理ものや、読みあいブラフ系の作品を多く作っているようです。
3000人のならずものボードゲーム概要
アメリカ開拓時代の運命を支配するのは誰だ?!
一握りのカード。何千もの可能性。プレイヤーは、敵対するリーダーとして謎の来訪者「トラベラー」が残した貴重な技術を盗もうとする。ならずものを雇い組織を構築し、完璧な戦略を計画し、ブラフで勝負せよ!
ならず者を雇え!
クリアカードを使用して3000人のならずものを作成し、それぞれにユニークな名前、アートワーク、能力を与える。これらのならずもののうち最大50人が各ゲームで使用され、すべてのプレイ体験が異なることを保証する!
完璧な組織を作り、強力なコンボを構築し、技術を盗み、敵を打ち負かせ。
敵を打ち負かせ
毎ターン、手札からポーカーカードを1枚自分の前に裏向きで出し、その数字に合った能力をすべて使用する。重要なのは――本当のことを言う必要はないということだ!ブラフが相手にばれると、君の評判が下がり、ゲームに勝つのが難しくなる。
引用:ホビージャパン公式HP
3000人のならずものは、アメリカの開拓時代をテーマにしたボードゲームで、なんとその世界に未来の技術を持った「トラベラー」が来訪した、というストーリーになっています。なんじゃそら(笑)。
ただ、この謎の未来技術は一部にしか出てこず、基本的には西部劇的な舞台感が強めになっています。
ゲームシステムとしては、読みあい・推理・騙し合い系のボードゲームになっており、相手を上手く騙しつつ評判を稼いでいくのが目的となります。
また、このゲーム最大の特徴は「3000人のならずもの」の存在。カードの組み合わせで本当に3000通りのキャラクターが存在するようになっており、ゲーム毎に大きなリプレイ性を与えてくれます。
英語名は「3000 scoundrels」。スカウンダレルってグルームヘイヴンで初めて知った単語ですが「ならずもの」という意味です。
3000人のならずものルール概要
ここからは3000人のならずもののルールを紹介していきます。
プレイ時間は長めに見えますが、そこまでルールは難しくなく、見た目以上にプレイ感は軽いゲームになっています。
各手番でやること
- 手札からカードを1枚プレイしてアクションを実行
- ならずものを雇う or 保安官と交渉
これを各プレイヤー4回実施すると1日が終わります。
①手札からカードを1枚プレイ
1日の始めに、各プレイヤーは、トランプの0~6の数字が書かれたカードを、4枚持っています。
これを、自分の場のアクションスペースに裏向きで1枚置くことで、そのアクションを実行します。
どの数字のカードをどの数字のアクションにおいても良いのですが、後述しますが、数字が不一致の場合、得点を失うリスクがあります。
アクションの種類
- 5のアクション:金庫を盗む
- 4のアクション:4金を得る
- 3のアクション:3金を得る
- 1,2のアクション:金庫カードを1枚偵察する
- 6のアクション:何もなし
5のアクション:金庫を盗む
このアクションでは、場に並んだ金庫カードから好きなものを1つ獲得して自分の手元に配置します。
このゲームの大きな目標の1つは、金庫カードを獲得することです。
金庫カードは、2~7得点になっており、このゲームの大きな勝利点になっています。
このアクションで獲得する際に、特に成否は無いのですが、金庫カードは全て裏向きになっているので、このカードを何点のカードを獲得するかは運次第なります。
また、金庫は最大で今の日数までしか持てません。1日目は1個、3日目でMAX3個までしか持てません。なので2点の金庫などは欲しくなく、7点の金庫が欲しいわけですね。
ちなみに、これは5番のアクションなので、カードの5でプレイすればノーリスク、5以外のカードでプレイすると失点のリスクがあります。
4のアクション:4金を得る
シンプルにお金4金得るアクションです。
お金は意外に得られないようになっているので、序盤は結構重要なアクションです。
4番のアクションなので、カードの4以外でプレイした場合、失点のリスクがあります。
3のアクション:3金を得る
シンプルにお金3金を得るアクションです。
3番のアクションなので、カードの3以外でプレイすると失点リスクあり。
1、2のアクション:金庫カードを偵察する
裏向きになっている金庫カードを1枚偵察するアクションです。
金庫は最大で1人3個までしか確保できません。
これを行うことで、金庫を盗む前に、どのカードがどんな点数なのかがわかるわけですね。
偵察後は自分の数字チップを1枚そのカードの上に配置する必要があります。どんな数字チップを置いても良いのですが、置いた数字とカードの数字が一致している場合、獲得時に価値が+1されるというボーナスがあります。
+1点ボーナスを得るためにピタリの数字を置きたいわけですが、そのカードの点数を他プレイヤーに教えることになってしまうため、何の数字を置くかは駆け引きになります。
なお、このアクションだけ1と2の2スペース分あります。それぞれ1,2以外のカードでプレイすると失点のリスクがあります。
6のアクション:何もなし
何もしないアクションです。
何もできませんが、カードの6はここ以外に配置するとダウトされる可能性があります。6のカードはここに置くことで失点のリスクを避けられます。6以外を置くと失点のリスクがあります。
ダウトについては後述。
バリアントルールで4人のプレイヤーキャラクター毎に特殊能力を付与することが出来ます。そのルールで遊ぶ場合は、6のアクションは特殊な効果を発動するようになります。
ダウトの宣言
このゲームの大きな要素の1つがこの「ダウト」宣言です。
他プレイヤーが実行したアクションと、そこに配置されたカードの数字が不一致であると思う場合、自分の手下トークンを1つそのカードに配置することが出来ます。
これはそのプレイヤーのそのターン中であれば、いつでも実施することが出来ます。
そのプレイヤーのターン終了時に、本当にダウトが当たっているかどうか(実行したアクションと出したカードの数字が一致しているか)を確認します。
数字が一致していた場合
正しい数字のカードで正しいアクションを実行していた場合、ダウト失敗です。ダウトした手下コマは全て保安官に逮捕されて牢獄されてしまいます。
とは言っても、要するに手下トークン=ダウト権が1つ失われるだけです。手下は後で回収可能です。
数字が一致していなかった場合
カードの数字とアクションの数字が異なる場合、ダウト成功です。ダウトされたプレイヤーは評判が1下がり、ダウト成功したプレイヤーが評判が1上がります。
評判はすなわちゲーム終了時の勝利点なので、ダウト成功は2点得られる行動ということになります。
ダウトに成功した手下トークンは手元に戻ってきます。
こういうルールなので基本的には怪しいプレイヤーのアクションにはガンガンダウトが飛んでいくことになります。
②ならず者を雇う
1アクションを実行した後は、このゲームの最大の特徴の1つである、ならずものを雇います。
場に並んだ3枚のならず者カードには、それぞれ雇うのに必要なお金が書かれているので、お金を支払うことで自分の手元のならずものエリアに雇ったならず者を配置することが出来ます。
これだけです。
ならずものは様々なタイミングで何らかの特殊能力を発動してくれるようになります。
雇うならずものカードですが、かなり面白い仕掛けになっており、事前に「職業」と「素性・性格」の2つの要素をランダムに組み合わせて作成されることになります。
どういうことかといえば、例えば「ギャンブラー」という職業と「年老いた」という素性を合わさると「年老いたギャンブラー」という「ならずもの」が出来上がります。
▼「自信過剰な」と「銀行強盗」を合わせて「自信過剰な銀行強盗」カードが出来上がる
オリジナルのスリーブが同梱されており、2枚のカードを1つのスリーブに入れることで、そのオリジナルのカードが出来上がることになるわけですね。
職業と素性は裏向きに山になっているので、ならず者を補充する際には、カードを組み合わせて1体のならず者を作成していくわけです。これが凄い。
カードを組み合わせることにより、決まるのは以下の要素です。
- 名前
- 見た目
- 雇うのに必要なお金
- 発動するタイミング
- 発動する効果
- オマケの勝利点
似たようなルールを持っているボードゲームは「スモールワールド」ですね。スモールワールドは「二つ名」と「種族」の組み合わせで能力が決まるのですが、このゲームもそれと同じです。
ならずものの能力
完成したならず者は様々な能力を持ちますが「タイミング」「効果」の2つが主な要素です。
タイミングは例えば
- 獲得した際に即発動して捨て札
- 4のアクションを実行したら即発動
- このカードの右に置かれたカードが発動したら即発動
- 評判を得たら即発動
など様々なユニークな素性(タイミング)が50用意されています。
効果は例えば
- カードを1枚めくって5、6なら金庫を獲得
- 4金得るか手下1を保釈
- このカードを捨てて評判1を得る
などがあります。こちらもユニークな能力が60用意されています。
50×60=3000通りのならずものというわけですね。
これらが組み合わさると「4のアクションを実行したら、このカードを捨てて評判1を得る」とか「評判を得たら、4金を得るか手下を1保釈」とかこのようなカードになるわけですね。
▼「自信過剰な銀行強盗」。3/4のアクションを実行時に、手下1体を刑務所に送ると6金得られる。雇うコストはわずか1金
組み合わせ次第ではかなり強力なものになったり、逆にへんてこりんな能力になったり、登場するならずものを1体1体見ていくだけで中々楽しめます。
また、数は多く無いですが雇うだけでシンプルに1勝利点になるようなカードも入っています。
②保安官と交渉
ならずものを雇わなかった場合は保安官と交渉するアクションが可能です。
以下から1つを実行します。
- 2金を得る
- 2金払って手下を1保釈
- 4金を払って手下を2保釈
- 12金を払って好きな金庫を1獲得
ダウトに失敗した手下を保釈するにはこのアクションが必要です。お金さえあれば気軽に戻ってくるので、ガンガンダウトしていけるのがこのゲームの良さでしょうね。
また、お金を得る手段はアクションか手下の能力以外だと、この方法しかありません。
「ならずものを雇う」ではなく「保安官と交渉」を選択した場合、ならず者カードで最も古い1枚が捨て札になります。なので毎ターン必ず1枚は、ならず者カードが市場からなくなるようになっています。
これで1ターン終了。他プレイヤーのターンに移ります。
ゲームの終了条件
- 3日(3ラウンド)経過すること
3日経過したらゲーム終了で得点計算に入ります。
各プレイヤー1日手札を4枚プレイなので、4x3=12アクションしたら、ゲームが終わるということです。非常に簡単ですね。
説明書に書かれていますが、初めてのゲームでは、ショートゲームとして2日でプレイすることも可能です。ただし、かなりあっさり終わってしまうので、折角であればロングゲーム(3日)でプレイすることをお勧めします。
ゲームの得点
- 金庫カードの得点:2~7点書かれています。
- 金庫カードのボーナス点:ピタリの数字を当てると+1点になります。
- 評判:ダウトの結果の評判はそのまま勝利点になります
- ならず者カードの得点:勝利点1がついているならずものも存在します。
これらを合計して最も勝利点の高いプレイヤーの勝ちです。
金庫カードの得点の比率が高いため、基本的には金庫による得点を狙うことになりますが、そこに合わせて評判による得点が増減される仕組みです。
3000人のならずものレビュー
ここからは3000人のならずものを実際に遊んでみたレビューになります。
想像以上に面白い良いゲーム
想像以上に面白いボードゲームでした。私がこのボードゲームを初めて遊んだときに、素直に感じたことがこれです。
確かに事前に気になっていた作品ではあったのですが、正直なところ3000人という数字だけが先行していて、それ以外のゲームデザインには懐疑的でした。しかしいい意味で裏切られましたね。想像以上に面白く、ワクワクさせられました。
これは普通に面白いですし、ブラフゲームが苦手とかそういうのはあまり関係なく、お手軽に楽しめるようになっています。
強すぎて無双するようなことはまずできないので、次遊べば勝てると思えるようなゲームデザインになっています。
また遊びたいと思わせるゲームデザインはかなり素晴らしいと思います。
ゲームシステムの根幹は、お手軽なブラフゲー
このゲームのシステムの根幹は、お手軽なブラフゲームにあると思います。
相手のブラフを予想してダウトして刺すシステムが根幹にあり、それがあるので、自分が取るべき行動が悩ましくなるようにできています。
例えば、お金が無いとならず者を雇えないわけですが、お金を使うアクションに合致する数字を持っていない場合、リスクを取ってお金を得に行くか、リスク取らずにするか考えなければなりません。
ダウトされれば勝利点2点分差が付くことになります。このゲームの2勝利点はかなり大きいので、真剣になるわけですね。
このお手軽ブラフゲームに「ならずもの」というプレイヤー固有能力構築要素を追加したのがこのゲームです。
3000通りのならずもの能力にワクワクする
新鮮なならずものの能力を見ていくだけでかなりワクワクしますね。
ならずものカードは、登場する都度作成されるため、一体どんな能力のならずものが登場するか、場に出るまで分かりません。
非常に能力値の高いお得なならず者になることもあれば、明らかに性能の劣っている謎の能力のならず者になることもあります。
リプレイ性はかなり高い
ならずものは1ゲームで50人位しか使わないので、リプレイ性は高く、遊ぶたびに新鮮なならずもので楽しめること間違いなしです。
逆に言えば、その場その場でならずものの能力を見定めてプレイする必要があり、臨機応変に考えて立ち回る能力が必要になると思います。
場に出てくるならずものも自分のターンで3体しかいないので、そう簡単に思ったような能力構築はできないようになっています。
特定の強カードをピックするのが正義、みたいな展開にはまずなりません。
コストと能力が見合っていないことも
カードコストと能力が見合っていないならずものが3000人中何人かいます。
大抵のボードゲームでは、コストが高いカードはより強力で、コストが低いカードはより効果が悪いように作られています。ドミニオンの2コストカードの効果はほどほどで、5コストカードの効果は強烈です。そりゃそうですよねって感じですが。
このゲームは、ランダムに効果Aと効果Bが合わさって1つのカードとコストが生成されるため、カードの購入コストバランスが若干悪いならずものがいます。
一応効果の強い能力のカードの方が、よりコストがかかるようにできているのですが、他方のカードのコストの一部を隠す(コストを下げる)ような仕掛けもあり、効果の組み合わせ次第では、やたら強いのに安いカードや、大して強くないのに非常に高価なカードなど、変わったコストのカードが出来てしまいます。
そういうアンバランスさ含めて3000通りの楽しみだとは思いますが、コストが高い=強い、だと思って何も考えずに買ってしまうと失敗するのでご注意ください(経験談)。
人数は多い方が良い
ブラフゲームなので人数は多い方が面白いです。
2人だとお互いがブラフだと思っていなくても、相手が1人なので撃ち合うような展開になりがちです。
それでも面白いですが、3人以上がおすすめですね。
総合評価
個人評価:★★★★★★★★★☆(9点)
何度も書いていますが、予想以上に面白いですしワクワクさせられた作品でした。
2022年で遊んだボードゲームの中では、かなり掘り出し物に近いと感じた作品の1つです。
TCGなどのカード能力ゲームが好きな人にはかなり刺さるんじゃないでしょうか。
3000人のならずもの内容物
- 透明カード 60枚
- カードスリーブ 66枚(90x65mm)
- カード 108枚
- トークン 82個
- ゲームボード 1つ
- リーダーシート 4枚
- ルールブック 1部
3000人のならずもののスリーブ
ならずもの用のハードスリーブが入っているので問題なし。
ただし、アクションに使用されるミニカード類は、ダウトに使われるので、裏がこすれてたりすると台無しです。可能ならスリーブ推奨です。
3000人のならずもの紹介のあとがき
以上、ボードゲーム「3000人のならずもの」のゲーム紹介とレビューでした。
カードゲームが好きな私としてはかなり楽しめた作品で、連続で何度も遊んでしまうくらい良い作品でした。
気になる方はチェックしてみてください。
スポンサーリンク