どうも。TEENOです。
今回の記事では、うちばこやさんから発売予定の新作ボードゲーム「Sweet Lands(スイートランズ)」を紹介していきます。
Sweet Landsは2024年11月に、うちばこやさんからキックスターター経由のクラウドファンディングを予定している作品となります。
先行して遊ばせていただく機会があったので、本記事では、本作の魅力を余すところなく紹介していきます。
ボードゲーム「Sweet Lands」のゲームルールとレビューの記事になります。
本記事の紹介内容は、最終製品版とは仕様が異なる可能性がある点ご注意ください。
▼うちばこやさんのSweet Landsの事前登録ページ
▼キックスターターのSweet Landsのページ
Pre-launch page Kickstarterページ
目次 非表示
基本情報
デザイン | システム:TOTSUCA CHUO 開発:TARO MATSUYAMA アートワーク:TATSUKI ASANO, SACHIKO KATSUKI 外装イラスト:Brownie120 ロゴ:CHAI |
---|---|
プレイ時間 | 100分~200分 |
プレイ人数 | 1~4人 |
対象年齢 | 14才以上 |
販売 | うちばこや |
発売日 | キックスターター受付開始:2024年11月~ |
希望小売価格 | 未定 |
関連サイト | >> キックスターター:Sweet Lands紹介ページ >> うちばこや:Sweet Lands紹介ページ |
お菓子の街を作る重量級ボードゲーム “Sweet Lands”
ここはお菓子の国、スイーツランド。お菓子の食べ過ぎで倒れた前王の遺言に従い、プレイヤーたちは集められました。最も優れた街を作ることができれば、あなたはこの国の新たな君主となるでしょう。
たくさんの人々の協力をとりつけ、時に他のプレイヤーと競いながら、最も豊かな街を作れるのは誰でしょうか?
重量級ユーロゲーム”Sweet Lands”は、200枚を超えるカード、14人の特徴的なキャラクターたち、449個の木駒が含まれ、過去最大級のボリューム。既存のユーロゲームのエッセンスを存分に含みながら、それでいて新しい。私たちの一つの到達点を、ぜひご体感ください。
引用:うちばこや公式HP
「Sweet Lands」はその名の通りで、お菓子の王国の街づくりをテーマとした作品。
それぞれのプレイヤーは次期国王となるために、お菓子の国を発展させていくことになります。
可愛いテーマと可愛いコンポーネントの作品ですが、見た目とは裏腹に、もの凄いボリュームのコンポーネントを内包した、もの凄いボリュームの重量級作品となっています。
デザイナーは「オスティア」など世界的に評価されている優秀な作品を多く生み出している「戸塚中央」さん。
うちばこやさんチームの1つの到達点ということで、かなり気合の入った作品となっています。
ゲームとルールの概要
ここではスイートランドのゲームとルールの概要を紹介していきます
超重量級の作品のため、ある程度概要に絞ったルール紹介となります。
ゲームの目的と終了条件
本作の目的は、より多くの勝利点を稼ぐことです。
全5ラウンド。
様々な方法で勝利点を獲得していくことになります。
ゲームの大きな流れ
自分の土地を開拓して、発展させていくことが、本作の基本的な流れとなります。
- マップに「タイル」を配置して探索し、
- 「道」を伸ばすことでタイルを表にして開拓し、
- その上に「建物」を建築することで発展させ、
- 最終的には住人である「ラビット」を配置し人口が増えて大都市に。
これが本作の大きな流れとなります。
勿論プレイヤーのプレイ方針やキャラクター能力次第では、ゲーム展開はこの限りではないですが、大体のケースで上記のような流れを基本としてゲームを進めていくことになるでしょう。
個人の発展ボード
各プレイヤーは個人ボードを1つずつ受け取り、このボードを発展させていきます。
ボードは複数種類ありますが、片面が必ずこの上記の基本パターンになっています。
最初に遊ぶ場合は全員共通の面を使用するのが良く、慣れてきたら裏返した個人別の面を使用するのが良いという風に紹介されています。
首都
ボード下の2つ繋がった白いマスが首都です。
首都は既に開拓済のタイル扱いで、他のタイルや道は全てこの首都から延びていきます。
マップ発展のベースとなるタイルです。
タイルの配置
タイルの配置は土地を探索するイメージでしょうか。
上記画像の通り、こんな感じで、首都から繋がるようにタイルを置いて土地を開拓していきます。
タイルを置くことで、そのマスに印字されたボーナスを即時得ることが出来ます。
このボーナスは大体上の方のマスの効果が強くなっており、ドンドン遠方の開拓地を開拓したいモチベーションにも繋がっています。
首都にも他のタイルにも繋がらないように新しいタイルを配置するのはNGですが、その制約を無視できるキャラクターも存在します。
1ラウンド目の初手でいきなり上部の強マスにタイルを置くことが出来るということです。ズルい(笑)。
道の建築
道の敷設は、道をつなげて探索した土地を開拓するイメージでしょうか。
道はこんな感じで、最初は首都から連続で繋がるように延ばしていきます。
道を延ばすルールは直観的にわかりやすいカタン方式です。ロンゲストロードはありません。残念です(笑)。
道に面したタイルは、即座に表になり、タイルに描かれた以下のボーナスどちらかが得られます。
- 生産力アップ
- 繁栄ポイント獲得
表になるタイルによって「麦」「木」「鉄」「お金」どの「生産力」「繁栄ポイント」が延びるか効果は違いますが、どちらかのボーナスが必ず得られます。
序盤は、どう考えても「生産力」が重要なので、大体が「生産力」のボーナスを得ていくことになると思います。終盤は勝利点が重要なので「繁栄ポイント」を得ることになるでしょう。
こんな感じで、配置したタイルを道をつなげて表にすることで、徐々に毎ラウンドの資源生産量が向上していきます。
ボードゲームあるあるで、生産力が上がらないと大体苦しくなるため、基本的には「タイル配置」→「道敷設」により生産力をあげていくのは、大体どんなプレイスタイルでも必須かと思います。
建物の建築
建物の建築は、その土地が発展していることを表すイメージでしょうか。
都市からの道が繋がって表になったタイルの上には、好きな「建物」を建築することが可能です。
タイルを表にすると「生産力」か「繁栄ポイント」のボーナスがもらえますが、建物の配置でも再度貰えます。
また、各建物は建築した際のボーナスがあります。
各種建物は非常にユニークな見た目をしており、うちばこやさんの可愛い魅力的なコンポーネントが楽しいです。
都市化
異なる3種類の建物が繋がると、それは「都市」になります。
都市を持っているプレイヤーは、マップ上の都市の数に応じて毎ラウンド終了時に「都市点」が入ります。
最大で都市を6個作ると、それに応じた巨大な都市点が入るようになります。正直6都市作成は難しい気がするが(笑)。
都市同士は分離していないと別の都市扱いにならないので注意が必要。建物の配置場所によっては2つの都市が1つに合わさってしまうことも起きてしまいます。
「都市点」は最終的に「勝利点」に変換されます。
クッキーラビットの配置
建物があるタイルにはクッキーラビットコマが配置可能です。ラビットの配置は人口の増加のイメージです。
ラビットは配置しても特にボーナスは得られませんが、ゲーム終了時に大きな勝利点になります。
ラビットは置くまでが結構大変ですが、最終的には1個9点など非常に大きな勝利点をたたき出します。
全く置かないというプレイも可能なのですが、見た目も可愛いので必ず1,2体位は、どこかに置いておきましょう。
ただのラビットではなく、お菓子の要素が入ったクッキーラビットというのが良いですね
ゲーム終了時はこんな感じ
全5ラウンド経過するとこんな感じの街が出来上がります。
マップを全てを埋めきることは恐らく不可能で、多くは空き地のような状態でゲーム終了することになります。
どのように発展させていくか、プレイ毎に全然違った街づくりが楽しめます。このボードの街づくりは他プレイヤーから妨害されることはないため、自分なりの方法で発展させていく喜びがあります。
これが基本的な流れですが、更にキャラクター毎の固有能力により、プレイスタイルはプレイヤー毎に全然違うものになります。
アクションの選択
ここまで紹介してきた行動を一体どうやって実行するのか?ですが、本作では、毎ターン各プレイヤーはプレイヤー共通の「アクション」から1つを選択して実行していくことになります。
ただし、アクション実行の際には、手札のカードを支払う必要があります。
手札が払えない場合はそのラウンドはパスするしかなく、実質手札の枚数がアクション実行可能数に直結する仕組みとなっています。
また、各アクションは回数制限があり、同じアクションは実行毎にコストが上がっていきます。ワーカープレイスメントほどの苦しさは無いですが、早取りした方が有利な調整となっています。
アクション一覧
これらがアクションマスです。
全てアイコン化されており、大体どういう効果かわかるようになっています。
1つのアクションにつき、1ラウンド1~3回実行が可能です。強力なアクションは大体が先着1回のみに制限されています。
アクションを選択した場合、そのアクションマスに円形タイルを1つ置きます。
その後、そのアクションに置かれている円形タイル数と同枚数のカードを手札から捨て札にします。
その後、アクションを実行となります。
上記だと、手札を1枚捨てて、その後、アクション「麦6を支払ってタイル3個を配置」を実行します。
こんな感じで同じアクションを2回目に実行すると、アクションは同じ効果にもかかわらず、手札を2枚消費します。
3回目に実行すると手札3枚消費という、かなりの消耗になり、いざというとき以外は使いづらそうです。
右下の4マスは、1ラウンド目は裏返しで閉じており、それぞれ2ラウンド目、3ラウンド目で解放されるアクションマスです。
3人、4人プレイ時はアクションマスが増えます。
他のアクションマスをコピーして実行する、というマスが増えるため、アクションが先取りされて苦しいという展開は、思ったよりは多くない印象です。
コピーアクションが上手く機能しており、比較的やりたいことがやりやすいような調整になっていると思います。
フリーアクション
フリーアクションは手番中に手番消費なく何度も実行可能なアクションです。
- 手札1枚と資源3つ消費 ⇒ タイル1か道1配置
- 15金消費 ⇒ カード1ドロー
- 4金消費 ⇒ 好きな資源1
- 資源1消費 ⇒ 1金
- 好きな資源3 ⇒ 好きな資源1
- 配置コマ1かカード1 ⇒ 好きな資源2
7つのフリーアクションが用意されていますが、何れも非常に重要で、何度も使用することになります。
フリーアクションは、非効率な変換レートではありますが、手番中に何度も実行可能なため、あと1金足りないとか、あと道が1本欲しい、みたいな痒い状況に手が届くようになっています。
やりたいことが出来ない状況でも、よくよくフリーアクションを見ると問題を打破できるようなことは、何度も遭遇しました。
ラウンド開始ボーナス
各ラウンドの開始時に、各プレイヤーは選択したラウンド開始ボーナスを得ることが出来ます。
何が得られるかはプレイヤーの選択次第です。
「資源生産力1UP」「道1敷設」「6金得る」など効果は様々です。
自分がコマを配置して選択した列のタイル2つの効果を得ることになります。プレイ人数に依って使用される数が変わります。
また、ラウンドのパス時に配置したコマを移動させることで、次のラウンドで得られるボーナスが変わってくることになります。空いているマスにしか移動させられないので、ラウンドのパス順が効いてきます。
ちなみに右上はラウンドパス時のボーナスが置かれるようになっており、即時性は無いですが、最終的には比較的大きめな勝利点が得られるようになり、終盤は特に有効なボーナスとなっています。
キャラクター能力とボード
計画ボードにキャラクターボードを挟み込むと。。。
こうなります。
これが各プレイヤーが使用する固有ボードとなります。
かなり面白い作りになってます。
必要なコマを置ききったらこんな感じ。
一体ここからどうなるんだと、これはワクワクが止まらない!(笑)。
キャラクター固有能力以外でも、生産能力や初期資源、建築時ボーナス等が微妙にキャラクターボード毎で異なって調整されています。
資源の話
このゲームには5種類の資源が登場します。「お金」「木」「鉄」「麦」「ダイヤ」。
保有資源数はそれぞれ生産力のところにキューブを置いて表現します。テラフォーミングマーズチックな資源管理の仕組みですね。
「お金」は、最も得やすくて1つ当たりの価値が安い資源ですが、汎用性が高いため非常に重要な資源です。カードを使用するためにはお金が必要であるのと、フリーアクションで他の資源に変換可能な点が重要である主な理由です。
「木」は、主に建物を建築するための素材として大量に使用されます。
「鉄」は、工業を進めるために使用されるのと、建築のためにもそれなりに使用されます。
「麦」は、食料の生産力を高めたり、人口増加させるためなどに使用される資源です。
「ダイヤ」は特殊資源になっています。ダイヤだけは専用のコンポーネントが用意されています。
ダイヤは得られる機会が少なく、比較的価値の高い資源ではありますが、使用されるタイミングが限られており、そう何度も必要になるものではありません。
- 繁栄トラックを最高得点に進めるために必要
- カードのオートメーション化(後述)するために必要
タイヤがないと困ることも多いですが、必須ではないという点で、取りに行くタイミングが難しい資源になっています。
このダイヤに特化したキャラクターも存在します。毎ターンダイヤ1を自動で得て、更にダイヤをカード代わりに使用可能。。。ズルい(笑)。
タイルの配置
「麦畑」「森林」「鉱山」「海」の4種類の基本タイルが用意されています。
先ほど紹介した通りで、タイルを配置して、配置したタイルに道をつなげることで、勝利点要素である繁栄トラックを上げたり、生産力を上げることができます。
拡大再生産のゲームなので、基本的には序盤は生産力をガンガン上げていくことになるでしょう。
そのため大量にタイルを置きつつ、道を置いて収入を上げるプレイが、基本的な流れとなっています。
マップ上に1つだけ白い「特殊地形」があります。
このタイルにのみ、強力な「特殊地形タイル」を配置することが出来ます。
特殊地形タイルは6種類用意されており、何れも強力で、それぞれ効果が違います。
- 金5得る+金の生産力7UP
- 繁栄ポイント2得る
- ダイヤ2得る+1ドロー
- 道2建築+木2得る
- タイル2配置+麦2得る
- 工業トラック2進める+鉄2得る
効果を得る方法は通常タイルと同じで、道が隣接で表になって1回、上に建物を建築して1回。合計2回まで得ることが出来ます。
特殊地形にタイルを配置になったら選択して配置が可能で、早取り要素になっています。
他の要素を無視してしまって、タイルで開拓しつつ道を延ばしていくだけでも、ある程度の勝利点を稼ぐことができるようになっています。極端な話これだけに特化した戦法でも、もしかしたら上手くいくかもしれませんね。こういう面白い戦略を考えられるのも、こういう重量級作品ならではの面白い点だと思います。
建物の建築
本作には6種類の建築物が用意されています。
建物の建築は、発展していくために非常に重要な意味を持っています。
- 建築した場所のタイル効果を再度発動(収益UPか繁栄ポイント獲得)
- 建物固有の効果を得る
建築コストと効果は、プレイヤーボードに印字されています。
アイスクリームの時計塔コマだけが特殊で、条件を満たした場合にフリーアクションとして配置可能で、配置後はキャラクター固有の強力な特殊能力が解放されます。
工業トラック
各プレイヤー「工業トラック」のボードを1つずつ持っています。
主にアクションで鉄を消費するとトラックを進めることが出来ます。
工業トラックを進めると停止&通過したマスに描かれた効果を得ることが出来ます。
オレンジのマスは馬車コマでのみ効果を得ることが出来、緑のマスは機関車こまでのみ効果を得ることが出来ます。
最初は馬車コマしか進めることが出来ませんが、馬車を一定以上進めると途中から機関車コマもトラック上に登場して、馬車と機関車両方を動かすことが出来るようになります。
トラック上のミルクの研究所コマは、それを建築しない限りは、工業トラックをそれ以上進めないようになっています。
工業トラックを進める最終的な目的は「工業点」を得ることです。馬車と機関車の進度に応じて毎ラウンド「工業点」が入ってきます。2つを最後まで到達させると合わせて毎ラウンド工業点が12点入るようになります。
「都市点」のように「工業点」は「勝利点」とは別の要素として存在し、最終的には「工業点」に応じたボーナスを得ることができ、「勝利点」として還元されることになります。
この「工業トラック」に特化したキャラクターも存在するため、工業特化な戦法も面白そうです。
食料トラック
「食料トラック」は「工業トラック」のボードと共通ボードになっています。
食料トラックを進めることで描かれたボーナス効果を得ることが出来ます。ボーナスが少なめに見えるこのトラックですが、進めることで建築時の木の支出を抑えることが可能になるのが大きな魅力です。
7つ目で木の消費が1抑えられ、11まで行くと、木の消費は1建築あたり3木少なくなります。
1アクションで建築を3回まで行うアクションもあるため、木の割引と組み合わせることで、最大で木を9個も節約して1つのアクションを実行することが可能になります。このゲームは資源が結構シビアなので木9はデカいです。
食料トラックを進めるのは大変ですが、そこまで行けばかなり大きなメリットとなります。
食料トラックを進める最大の目的としては、ラビットコマを配置できるようになる点があります。食料トラックが進んだところまでのラビットコマしかボードに配置することが出来ません。
食料トラック4でラビットコマ1個目です。食料トラックを12まで進めないと、ラビットコマ9個全てを配置することは出来ません。
ラビットコマは勝利点にしかなりませんが、1体あたり最低でも4勝点、最大で7勝利点という非常に大きな高得点につながります。またチーズのテントコマの最終建築ボーナスと合わせると、ラビット1個9勝利点となります。全部置ききることで9×9=81勝利点も得ることができます。
このラビットコマによる勝利点は、このゲーム最大の勝利点要素の一つとなっています。しかし逆に言うと、ラビットは勝利点以外には使用されないため、注意が必要です。
カードのプレイ
本作にはユニークなカードが200枚近く大量に用意されています。これは凄い。
カードは毎ターン開始時に6枚まで手札に補充され、アクションの実行に消費されますが、同時にカード単体でプレイすることも可能です。
ちなみに毎ターンのカードドロー枚数はマップの特定のマスにタイルと道を接続することで、最高で2枚まで追加で補充することが出来るようになります。カード枚数=アクション数!。なので超重要です。
カードのプレイにはお金が必要で、プレイすると様々な効果をもたらします。
「タイル配置」「即時建築」「勝利点獲得」「道敷設」「収益向上」など実に様々です。
カードには6種類のタグの内1つがついています。
カードをプレイするとそのタグを常時得ることが出来て、タグの分だけ以降のカードを使用するコストが安くなったり、タグを参照して特殊効果が追加で発動するようになったりします。
最初から全6つのタグを持っており、更にカードをプレイすると収入が上がるといった、カードに特化したキャラクターも用意されています。ズルい(笑)。
カードの使い方の面白い点として、カード使用時にダイヤ1を支払うことで、カードを「オートメーション化」することが出来ます。
画像のように、使用したカードによって「麦」「木」「鉄」のオートメーションのレーンにカードを差し込みます。何らかの方法で「オートメーション効果」を得た場合、さしたカードに描かれた効果が順次発動していきます。
例えば、上記画像だと、「麦のオートメーション」が発動すると「4金収入UP」→「麦1収入UP」→「水タイル1配置」→「好きなタイル1配置」という4つの効果が発動して、非常に強力な利益を得ることが出来ます。
オートメーションシステムは未使用でもプレイに影響はないのですが、自分オリジナルの連続発動する効果を設計することができるため、効果の構築が面白いですし、効果が大きいので比較的重要な要素にもなっています。
オートメーション化できるカード枚数には上限があり、1枚から始まって、建物の建築状況で最終的には3枚まで差し込むことが出来ます。
スキルタイル
スキルタイルは保持しているプレイヤーに特別な効果をもたらすタイルです。
工業トラックを進めたり、マップを探索したり、建築したり、獲得手段は何種類か用意されていますが、そう簡単には得られない割には効果は強いため、結構重要な要素になっています。
スキルタイル獲得の効果を得た際に、12種類から1つを選択して獲得が可能です。
効果は以下の4つのカテゴリーに分かれています。
- 獲得時に1回だけ即時発動(繁栄トラックを3つ進める系)
- ラウンド毎にアクションとして1回だけ使用可能(即時資源を得る系)
- 永続効果(特定のアクション実行時に勝利点を得る系)
- ラウンド終了時効果(ラウンド終了時に条件によって勝利点を得る系)
1種類3枚まで用意されており、同じタイルは獲得不可なので、3人プレイまでだとマイペースで問題ないですが、4人プレイだと欲しいタイルが無くなる可能性もあるので、注意が必要です。
個人的には、序盤は資源得る系が毎ラウンド使用可能で便利かと思いますね。
繁栄トラック
勝利点を得るために最も重要な要素がこの繁栄トラックです。
- タイルの配置数
- クッキーラビットコマの配置数
- 道の配置数
- 建築物の配置数
- オートメーション化したカード数
- 工業点
6つの要素がトラックの進度に応じてゲーム終了時に勝利点換算されるようになっています。
万が一繁栄トラックを1マスも進めないプレーをすると、その分生産力は上がりますが、最終的には全く勝利点が得られないという結果になります。先ほど紹介した高得点要素であるラビットコマも、うっかり繁栄トラックを1マスも進めていなかった場合、勝利点0ということもあり得ます(笑)。大分うっかりですね。
そのため、高得点を得るためには、避けて通れない要素の一つとなっています。
繁栄トラックを進めるもっとも簡単な方法は、開拓したタイルを表にする際に「生産力」ではなく「繁栄トラック」でボーナスを得ることです。
各トラックの最終勝利点に入るためにはダイヤ1が必要です。最終まで進めると得点効率が全然違うため、狙っているボーナスは基本的には最終まで進めることになると思います。
また、最終トラックには比較的強力な即時ボーナスが用意されており、このボーナスは先着1名の早取り要素となっています。一方で得点効率は全員が最終倍率トラックまで進めることが出来るので、きつすぎる早取り要素にはなっていません。
ゲーム終了時得点
ゲーム終了時の得点要素は、大きく分けて 5つあります。
- ゲーム中に獲得した勝利点:キャラクターの特殊能力やカードの効果でゲーム中に得た勝利点
- 繁栄トラックの6種類の勝利点:繁栄トラックの進度とマップの開拓状態によって得られる勝利点
- 建築勝利点:建物を最後まで立て切った場合にボーナス勝利点が入ります
- 都市点からの勝利点:都市点が1点あたり2勝利点になります
- 港への接続点:マップに4つある港に首都からのタイルが繋がっている数で得点。少ない場合は大失点。つまり盤面を開拓しないプレイは大きく失点しますよということです。
その他、余った資源も勝利点となります。
「工業点」や「都市点」は勝利点とは別なので、得点管理は注意が必要ですが、最終的には大体勝利点に変換されます。
以上が本作のゲーム要素です。お疲れ様でした。
Sweet Lands レビュー
ここからは実際にSweet Landsをプレイしてみた感想となります。
無茶苦茶面白い作品です。
ユーロテイストの重量級作品で抜群に面白い
近年のユーロボードゲームのテイストを存分に盛り込んだうちばこやさんの意欲作。
重量級だけあってプレイ時間はかなりかかりましたが、じっくりと最高に楽しくプレイできました。
ユーロ寄りの作品らしく運要素はほぼなくて実力が結果に反映され、運で結果が左右されることはほぼないと思います。その半面で、自由度が高くノビノビやれるようになっているので、勝ち負け云々以前に自分なりの戦略を好きに楽しめるようになっていました。
優秀なユーロ系ボードゲームは、あれしたいこれしたいと、自分のターンが非常に待ち遠しくなると思いますが、本作もそんな感じで自分のターンが来るのが待ち遠しくなります(笑)。
自分のボードを発展させるのがメインの流れですが、資源はそれなりに余裕が無いので、限られた資源をどのように配分していくかには、常に大きく頭を悩ませると思います。やや厳しめの資源管理バランスになっていますかね。有り余る資源で無双状態みたいなことはできないようになってます。一方で他プレイヤーからの妨害みたいなものはほぼないので、限られた資源で自分スタイルで自由に街を発展させることが出来ます。
他の優秀な重量級作品に似ているという点だと、ボードゲーム勝利点に直結する繁栄トラックは「テラミスティカ」の教団トラックに似てますし、資源管理と収入の要素は「テラフォーミング マーズ」チックです。他の重量級作品の良いところを上手く取り込んで、オリジナルに仕上げた作品と言って良いかもしれません。
ちなみに重量級あるあるですが、要素数は非常に多いので、その分個人タイルなどのコンポーネントが増えて、物理的に必要なプレイスペースは広めになっています。
最高のコンポーネント
うちばこやさんといえばコンポーネントの話は避けて通れません。
今更言わずもがなですが、本作Sweet Landsのコンポーネントは最高そのもので、とにかく美しく可愛く、相変わらずのクオリティになっています。
世界トップクラスと言っても過言ではないのではないでしょうか。
見た目だけでいきなり面白さを想像させてくれる作品ってもの凄い魅力的ですよね。
実際にぱっと見では気づかないような、コマの種類やコンポーネントの細部を1つ1つ見ても、かなりこだわってデザインされた作品になっています。
ちなみに可愛いコンポーネントの見た目ほど緩い作品ではないのでご注意ください(笑)。
抜群のリプレイ性
重量級作品らしく、リプレイ性は非常に高く作られています。
当然一度遊んだだけでは全然遊び切れず、何度も何度も遊んで色々試してみたくなりますね。
基本的な流れは、ルール概要で紹介した通り「タイル配置して道と建物を配置して発展していく」なのですが、この基本の流れをベースとして、工業トラックや食料トラック、繁栄トラックにオートメーションなど、様々な仕組みが入っています。
マップも複数種類用意されており、マップによるプレイ感の違いもあります。
一度のプレイでこれらの要素全てを網羅しつくすことは当然不可能なので、プレイ毎に取捨選択しながら進めることになり、プレイ毎の戦略の違い、方針の違いが楽しめます。
マップ開発しかやらない方針で、タイル配置と道配置に特化するのも良いでしょうし、敢えてタイルと道しか置かない戦略も面白そうです。
工業に特化するのも良いですし、カードプレイに特化するという選択もあります。
勝ち負けに拘らず自分の好きな戦略を様々に取れるのは個人的には非常に好みですね。もちろんそれが勝利につながればなお良いですが。
また、キャラクターも14 体の個性的なキャラクターが用意されており、それぞれのパワーの違いを楽しめます。
キャラクターの違いはざっくり以下になります。
- 初期資源
- 初期収入能力
- 建築時ボーナス
- 常時発動能力
- 強力な時計塔効果
初期資源や収入や建築時ボーナスは、そこまで大きくキャラクター間の違いはなさそうですが、「常時発動能力」や「時計塔能力」は、各キャラクターの個性が強烈に出ていて面白いです。
半分くらいのキャラクターを使用してみましたが、いずれのキャラクターも個性的で非常に強力な特殊能力を持っており、尖がった強力な性能でプレイ毎の違いが楽しめました。
例えば、カード特化のキャラクター。カードをプレイするたびにお金の収入が増え、更にカードをプレイすると勝利点が入る。全てのカードタグを最初から持っているので、カードの効果が全て強化された状態で常にプレイが可能。
例えば、工業トラック特化のキャラクター。工業トラック進めるための資源が安く、工業トラック点が毎ラウンド勝利点として加算される。
どのキャラクターも大体がズルい能力を持っているので、他のプレイヤーの能力がうらやましくなること間違いなし(笑)。
私はこういうキャラクター毎の固有能力のシステム、いわゆるヴァリアブルプレイヤーパワーのシステムが大好きで、時間あれば別途記事にまとめてみたいと思います。
プレイ時間は超重量級でみっちり楽しめる
プレイ時間は文句なしの超重量級です。
箱には200分と書かれており、この見た目でそんなまさか・・・と思いつつプレイしてみると、実際にそれ位かかります(笑)。可愛いコンポーネントに騙されそうな人は注意してください(笑)。
慣れれば当然変わってくると思いますが、3人プレイで3時間は見ておいた方がいいかもしれません。ルール説明とセットアップもそれなりに時間がかかるので、初めてのプレイ時は余裕を持ってプレイするのがいいかと思います。
全5ラウンドで、最初のラウンドは各プレイヤー資源がそこまで潤沢ではないので、やれることはそれなりに限られていて、スムーズにプレイが進みます。ただ、拡大再生産あるあるで、徐々に生産能力が蓄えられて選択肢が広がる後半になるにつれ、時間がかかるようになります。
特に4ラウンド目、5ラウンド目は、一気に発展していくラウンドで、長めに時間はかかりますがみっちり楽しめるラウンドとなっています。あれこれとやれること、やりたいことが増えていきます。みっちりじっくり楽しめます。
ちなみに意図して狙ったかはわからないですが、プレイ人数は簡単に減らしてプレイ続行できるようになっています。可愛いコンポーネントにつられて超重量級作品をプレイしてしまい、疲弊した人が途中離脱しても大丈夫です(笑)。
インタラクションはマイルド
プレイヤー同士の駆け引きや影響要素、いわゆるインタラクションですが、本作は結構マイルドに作られていると思います。
アクションの先取りが最大のインタラクションですが、良くあるワーカープレイスメントゲームのように同じアクションを全く打てなくなることは少なく、また、それ以外の要素で、プレイヤー間のインタラクションは控えめです。
繁栄トラックも、テラミスティカ等であればトラックを最後まで進められるのは先着1名という強めのインタラクションがあったりしますが、本作に関しては、どのプレイヤーも最終まで進めることが出来ます。即時 ボーナスだけがもらえないという、そこまで強烈な効果ではないが、貰えると嬉しいという感じの、程よいバランスだと思います
「オスティア」を手掛けた本作のデザイナーである戸塚中央さんの作品の特徴だと思っていますが、ある程度各プレイヤーが自分のやりたいことをノビノビとプレイできるバランスとなっています。
自分のボードを他プレイヤーに邪魔されることなく、自分なりに自由に発展させて成長させていくところに大きな楽しみがあります。
私個人的には、この「自分のやりたいことを大体自由にできる」というレベルのインタラクションは非常に好みです。難しいところですが、逆に他プレイヤーに妨害・邪魔されることでやりたいことが出来なくなり台無しになる・・・ような強めのインタラクションはあまり好みではありません。重量級だと時間をかけてプレイする分なおさらダメージは大きいでしょう。
一方で、同様に私とは別の機会で既に試遊した他の方からは、このマイルドなインタラクションに対して指摘もあるようで、この辺は好みがわかれるところかもしれません。
まだ量産化は先の作品なので、もしかすると最終的な製品版に向けてこれからバランス調整が入るかもしれません。
運要素はあまりない
本作の運要素は控えめで、唯一大きな運要素が絡むシステムとしては配られるカードがあります。
毎ターン6枚まで補充される手札ですが、このカードを何引くかは結構重要で、大量の山札から自分の戦略にあったカードを引けるかなどは、比較的運要素が絡むうえに重要なシステムとなっています。
安くて生産力を序盤から高めてくれるカードや、大量勝利点につながる戦略級のカードも中には存在しており、引いたカード次第で、戦略を変更することも多い印象です。
ただ、良いカードを引けなかったとしても、カードを使用するためのお金は資源に変換できるため、カードとお金は通常のアクションに消費すればよく、カード運でゲームに負けた・・・とはならないとは思いますね。
他の運要素としては、ラウンドボーナスの組み合わせは、ゲーム毎にランダムに決められて、自分のキャラクターに相性の良いボーナスが存在する時などは、やや運が良かったとなるかもしれません。ただ、そこまで劇的に違いが出ることはないかなと思っています。
運要素が無いということは、裏を返せば実力主義なボードゲームということになります。やれることが多すぎて最適解みたいなものはなさそうですが、上手い戦略・下手な戦略というのは今後出てきそうです。
総合評価
個人評価:★★★★★★★★★☆(9点)
うちばこやさん+戸塚中央さんの最新作である「Sweet Lands」を先行でプレイさせていただきました。
「オスティア」+「海賊拡張」もプレイ時間は重量級寄りの作品でしたが、それを更に超える重量級作品となっており、重量感は完全に見た目に騙される作品でした。いや、このコンポーネントの可愛さは騙されるでしょう(笑)。
これまで既に述べたとおりですが、じっくりとマップの開拓・発展を楽しめるプレイ感は非常に面白く、更にリプレイ性も高いため、プレイの満足度は段違いに高く楽しいゲームでした。個人的にはやりたいことがじっくり自由にできるのも大変好みで、自分の方針を邪魔されずにプレイ出来るので、例え勝利点の差で勝負には負けたとしても嫌な気持ちにならないんですよね。
数回プレイだけでは真価はわからず、何度も何度もリプレイしたくなること間違いなしです。一緒にプレイしたメンバーも軒並み全員が太鼓判の高評価で、再プレイを熱望する方々ばかりでした。
バランス面ではまだ量産に向けて調整しているフェイズのようなので、私がプレイしたルールから更にブラッシュアップされて、調整され更に面白くなっていくようです。既に十分面白すぎるんだが、これ以上面白くなって大丈夫なのだろうか。。。
キックスターター本番が楽しみですね。気になる方は要チェックです。
関連サイト
▼うちばこやさんのSweet Landsの事前登録ページ
▼Sweet lansのキックスターターページ
Pre-launch page Kickstarterページ
▼オスティア:ボードゲーム紹介とレビュー
「オスティア」ボードゲーム紹介とレビュー▼オスティア海賊拡張:ボードゲーム紹介とレビュー
Ostia Pirates:オスティアの海賊拡張のボードゲーム紹介とレビュースポンサーリンク