今回は先日開催されたゲームマーケット2020秋で先行販売されたリゴレさんの新作「マウンテンキング」を紹介します。
前評判を聞いて気になっていた噂のマウンテンキングを遂にプレイすることが出来たのですが、個人的にはかなりドストライクなボードゲームだったので、フレッシュなうちに記事にしておこうと思った次第です。
ゲームルール詳細などは説明書に非常にわかりやすく書いてあるので割愛して、主にどういう要素が面白いのかや、プレイ前のイメージと違った点など、個人視点での情報を中心に紹介していきます。
マウンテンキングはどういうボードゲームか?
マウンテンキングのゲーム概要を紹介していきます。
あらすじ
オークに聖なる山に建造された洞窟の住居を奪われ居場所を追われたトロール達。しかし大地震によって聖なる山は崩壊し、そこに住んでいたオークたちも壊滅した。今こそ聖なる山に眠る我らの聖なる彫像を掘り出し、その彫像を聖域に捧げたものがトロールの王、すなわちマウンテンキングとなる!みたいな話。
フレイバーはあんまりちゃんと読んでないので若干間違っている可能性はあります(笑)
ちなみにゲーム中にオークは一切出てこず、完全にただの設定フレイバーです(笑)
どんなゲームか?
凄い雑な説明をすると基本的には穴を掘っていく(=ボードにタイルを配置する)ゲームです。
全プレイヤー共通のボードは正方形のマス目が描かれており、スタートマス(洞窟の入り口)から始まりそこにテトリス的な黄色いタイルを繋げて置くことが、洞窟の穴を掘り進めたこと、になります。2マスのタイルから5マスのタイルまで各種類様々な形が用意されており、それを繋げて自分の穴を掘り進めていくことになります。
こんな感じでボード上がワッチャワッチャしていくゲームです。
穴を掘るモチベーション
穴を掘るモチベーションは幾つかあります。穴を掘ることはそれだけで勝利点になります。また、トロールたちの聖域には資源や彫像が眠っています。穴を掘ってそれらを掘り起こすことで、更に穴を掘る資源が得られたり、また彫像を奉って勝利点を稼いだりすることが出来ます。
マップは中心に向けて5層に色が分かれています。掘り出した彫像は最初は最も点数の低い外側の場所から掘り出されることになりますが、マップ中央(山の中心)に近づくにつれて高得点になるようにできています。そのため中央に向けて穴を掘り進めることは重要になってきます。
資源
このゲームには7種類の資源が登場します。
何れも入手方法はほぼ似たような感じですが、いずれもゲームを進めるにあたって重要なものになります。好きな資源4つを好きな資源1つと交換できますが、非常に割が良くないのでよほどのことが無い限りはやらない方が良いでしょう。
7種の資源(上の画像はデラックス版なので通常版より資源は豪華な作りになっています)。
石
灰色のキューブ。穴を掘るために必要なもっとも入手しやすい資源です。
穴掘りは同じ資源を2~5個消費することで実行することが出来ます。入手しやすいということはそれだけ早期に穴を掘り進めることが出来るということです。ただし、入手しやすいだけあって穴を掘ったときに得られる勝利点も低くなっています。
確かに石は得やすいのですが、石ばかりで建築を狙っていると目に見えて勝利点が低くなる印象があります。
鉄
黒いキューブ。穴を掘るための資源で、希少価値は中くらい。穴を掘ったときに得られる勝利点も中くらいです。
ハートストーン
赤いキューブです。穴を掘るための資源で、最も希少価値が高いですが、その分穴を掘ったときに得られる勝利点も非常に大きいです。直感で資源名がわかりづらく「ハートストーンを得る」と書かれていても、何のことかわからないことがあるので注意です。
確かに希少価値は高いがそこまで獲得できないというわけでもなく、基本的にこのハートストーンで穴を掘れるようになると、目に見えて得点がガッポリ入って強いですね。
お金
お金っぽいトークンです。お金は強いトロールを雇うのに必要になります。
このゲームはトロールを雇うことで新しい資源が獲得できるような仕組みになっています。ピラミッド型にトロールを配置して行くことで上のトロールとその下のトロール全てが資源を生み出してくれます。
つまりトロールを雇うのは必須行動となります。このトロールですがLVが1~3まであり、LV1トロールは無料ですがLV2トロールは2金、LV3トロールは5金かかります。LV3は高いですが非常に強力で大量に資源を生み出してくれます。LV3トロールを早いうちに雇うことが出来ればかなり順調な序盤と言えると思います。
▼屈強なLV3トロールたち
お金はトロールを雇う以外に使用されないですが、基本お金以外の手段ではLV2以上のトロールは雇えないため、強いトロールを雇うためにお金は重要です。
魔法石
紫色のトークンです。ゲーム開始時に使用できる魔法が3つ用意されます。手番中に1度だけ魔法石を使用していずれかの魔法を発動させることが出来ます。魔法は早い者勝ちで同じ魔法が3回使用されるとその魔法は捨て札になり、新しい魔法がめくられることになります。
この魔法石は穴掘りに関係ないということで正直最初は舐めてたのですが、いやはや魔法は非常に強力な能力を持ったものばかりで、この魔法を上手く使いこなしたものがマウンテンキングを制すといっても過言じゃないです。
例えば「トロールを雇うのにお金の代わりに好きな資源を消費してよい」という魔法。これはかなり凄くて、手持ちの資源を消費しまくることでいきなり序盤からLV3のトロールを雇うことが出来ます。本来であれば頑張って5金溜めないといけないわけです。実際に5金は中々たまらないのですが、この魔法があれば1手番目にいきなりLV3トロールを雇えます。
例えば「掘っていない彫像を2マス動かす」という魔法。彫像は掘ると勝利点に繋がりますが、魔法を使って上手く自分が掘った場所に移動させれば、掘る必要がなくなります。
などなど。便利過ぎるものだらけなので魔法はあまり疎かにしない方が良い気がします。
つるはし
緑のつるはしトークンです。マップ上いたるところに描かれている硬いマス1つの上にタイルを置くのにつるはしが1つ必要になります。
序盤はあまり重要視されない資源ですが、マップ中心部は硬いマスだらけなので、ある程度つるはしを得ていないと、中盤以降は思うように掘り進められなくなります。つるはし持ちのトロールを取ろうと思った時にサプライにいないなんてこともあるので、つるはしが必要になりそうなタイミングの見極めは重要です。
手押し車
茶色い手押し車トークンです。掘ったばかりだと一番外側に近い層に配置される彫像ですが、これを移動させるのに手押し車が必要になります。この手押し車を使用して一番外壁だと1個2点にしかならない彫像を、最も中心部に近い層に運び込めば最大1個10点まで上げることが出来ます。彫像の価値(=勝利点)を高める役割ということになります。
また、広間を作成した際にその中の特定の位置に彫像を建てると大量得点が得られますが、この広間に彫像を移動させるというのにも使用されます。
ただこの彫像の移動は中々厄介なシステムです。
雇ったトロールの上に載っている手押し車は使用制約付きのものが殆どです。例えば、青い彫像の移動にしか使えない手押し車だったりします。つまり、手押し車はもっているが青い彫像の移動にしか使えないため、オレンジの彫像は移動できない、思ったように狙った彫像を移動させられないなんてことになります。何らかの方法でトロールの上の手押し車トークンが手元に来ると、無印手押し車になり、それはどの色にも使用可能な手押し車になります。
また、一度の移動には制約があります。自分が掘った穴は区画で区切られており、今いる区画か隣の区画の好きな場所にまでしか移動できません。2つ以上隣の区画にまで移動するには手押し車が2つ以上必要になるということです。この区画ルールは中々細かい点なので説明書を要確認ですね。
得点方法の紹介
得点方法も色々ありますが、超わかりやすいサマリーにかかれているので、それを上から読んでいくだけですぐに理解できるでしょう。
トンネルを掘る
このゲームのメイン得点源その1です。
石・鉄・ハートストーンの何れかでトンネルを掘る(=黄色いテトリスタイルを配置する)とそれだけで即得点です。大きさ2は0点ですが、大きさ3~5のタイルを配置すると、得点が得られ、更に得られる得点は資源毎に異なります。
石とハートストーンでは同じ大きさのタイルを配置しても実に倍近い得点の差が出るため、可能な限りハートストーンで掘り進めたいところですが、こればかりは資源をどう得られるか次第になります。
魔法の効果で得点を得る
一部の魔法は勝利点を得る効果がついています。それを使用することで勝利点を得ることが出来ます。魔法石1つを消費して魔法1回使うだけで何と6勝利点得られたりするので、かなりの得点効率と言えます。
台座の得点
LV2、3のトロールを雇うと台座が1つ得られます。台座を持っているなら穴掘りタイルを配置したタイミングで、タイルの穴が開いているマスに台座を配置することが可能です。この台座をマップに配置すると台座配置得点として得点チップが1つもらえます。
台座は彫像と同様に白・青・オレンジの3色あり、全5層のマップの内、各層に全プレイヤー合わせて1色1個だけ台座を配置することが可能です。3色5層なので計15個しか台座は配置できません。この先着で配置した各色の台座に得点が入るようになっています。どの階層のどの色の台座配置で何点得られるかは、ゲーム開始時にランダムで配置した1~4点の得点チップに依存します。
1層目に台座配置すると4点になるから、2層目は止めて1層目に台座を配置してしまおう、何ていうプレイにも繋がるかもしれません。
彫像の得点
このゲームのメイン得点源その2です。
マップの外周第一層に白・青・オレンジの3色の彫像が大量に配置されていますが、彫像を掘り起こすことで得点になります。最も外周の層だと2点にしかなりませんが、手押し車を使用して内側に移動させることで4、6…と得点が上昇していきます。最も内部の黄色い層に置かれた彫像は1個10得点にもなります。
▼3種類の彫像たち。各色に特に有意差はない。これはデラックス版なので格好いいコマになっています
彫像は同じ色の台座の上に載せることも可能です。同じ色の台座の上に置かれた彫像は、何と得点が2倍になります。この得点UPもかなり大きいので可能な限り内側の層で台座を配置して、その上に手押し車で彫像を移動させて載せる、なんてことを皆狙っていきます。
これを狙わないというプレイングも可能だとは思いますが、私が遊んだ限りでは皆1つは内側の層に台座と彫像を配置しようと狙っていました。また各プレイヤーのスタート地点の周辺には、どのプレイヤーも大体同じ数の彫像が眠っているため、ただ彫像を掘るだけでは得点に差はつきづらいです。なので如何に内側に移動させて得点を上げるかが重要だと思います。
広間タイルの得点
先勝ちで配置可能な広間タイルが6種類用意されています。
大きさは2×2から4×4まであります。例えば2×2の穴を掘ったらその上に2×2の広間タイルを置くことが出来ます。ある一定の形に掘った洞窟をそこを広間として改築するようなイメージです。
タイルの大きさはMAXで4×4というかなり大きなものになっており、完成させるにはかなり手間がかかりますが、その分得られる得点も大きいです。この広間タイルの中の特定の位置に彫像を配置すると、その彫像から得点は得られなくなるのですが広間タイルの得点がグーンと向上します。
このタイルは先着順の上に大きいタイルだと10点や20点得られるような中々大きい得点源になるため、同じタイルを狙って先に取られたらかなりの大ダメージになります。
トロールピラミッドの完成得点
資源を得るためにトロールを雇ってトロールピラミッドを作っていき、一番最初にピラミッドを完成させたプレイヤーは5点です。2番目のプレイヤーは3点。
2人がピラミッドを完成させてから手番を同じく2周回したらゲーム終了となります。
資源の得点
同じ資源は3個で1点になります。
異なる資源ではNGというのが中々渋く、同じ資源が3つあったら大抵別の用途に使ってるであろうという感じがします。
これら得点を合計して最も勝利点の高いプレイヤーがマウンテンキングの称号を得ます!
マウンテンキング レビュー
ここからはマウンテンキングのレビューになります。
マウンテンキングは個人的には文句なしに☆5つの満点の作品です。
家籠りで需要が増えているのか、今年はかなり日本語版ボードゲームが豊作の年でしたが、個人的にはその中でもかなり上位の作品だと思います。それくらい非常に面白かったし満足度は高かったです。
初プレイはインスト込みで3時間コースでしたが、あっという間に時間は過ぎて終わってました。それ位夢中になって遊べましたし、終始楽しくプレイ出来ました。
2人から5人までプレイ可能ですが何人プレイがベスト何だろう。。。私は4人で遊んでいましたが、4人戦は面白くバランス良く出来ていると思いました。
考えることが盛りだくさん
他プレイヤーの手番中にやることはないのでダウンタイムはそれなりにありますが、考えることもそれなりに多いため、他プレイヤーの手番中は大体作戦を練る時間になります。
どのタイルを使ってどの方向に掘り進めるか?トロールを雇って資源を回復させるか?魔法や工房は何を使うか?内側に伸ばしたいがつるはしが必要なのでまだいけないか?上手くタイルを配置できればつるはし1個でいけるか?つるはしを得るためにやはりトロールを雇うか?台座を配置して彫像を移動させる方が先か?など
先勝ち要素のインタラクション
先勝ち要素が比較的多いため、自分の好きに掘り進めつつも、他のプレイヤーの動向をうかがって優先度を変えていかないといけません。
広間タイルの配置、台座の配置、魔法の使用、穴掘りタイルの配置、工房の獲得、トロールの獲得、これらは全て他プレイヤーと競合するので、狙ったことが出来ないという可能性もあり、非常に悩ましく出来ています。
見通しの良いゲーム
確かに考え無いといけない悩ましいゲームなのですが、重ゲーの割にはプレイのルールは難しくないゲームでしょう。重ゲーによくある初心者がプレイすると何をしていいかよくわからない、なんてことはない非常に見通しの良いゲームだと思います。
そのため重ゲー寄りの部類ではあるとは思いますが、比較的中量級好きな方でも楽しめるようなわかりやすいゲームデザインになっています。
メイン要素である穴掘りですが、気軽にパズルチックに配置して行けばいいのですが、穴を掘る場所や形によって得られる結果が変わってきますし、今後の展開も変わってきます。広間を配置するために四角い形にしたいですし、外周に伸ばして彫像や資源を得たいですし、工房を得るために工房に接続したいですし、中央に伸ばして彫像を高得点化したいわけです。タイルの形は色々あるため、どのタイルをどういう形で置くのがいいのかを考えるのは楽しいですね。
トロールの資源システムが気持ちいい面白い
トロールを雇って資源を一気に得られるのが気持ちいいと書いている人がいましたが、これはその通りで、終始資源はカツカツ気味なのですが、トロールを雇う度に一気に入ってきます。この得られた資源を上手く活用してまた何ターンかを過ごす計画を立てることになります。
トロールも、どのトロールを獲得するか次第でその後入ってくる資源のテイストが変わってくるため、何も考えずに獲得するのはNGで、ある程度自分が必要としているものを意識して雇う必要があります。特に手押し車やつるはしなど、当初疎かにしていた資源が急に必要になることも多く、そういうトロールを上手くトロールピラミッドに組み込んであげる必要が出てきます。
魔法の爽快感
魔法に関しては、無くてもゲームとしては成立しているのですが、使用することでまさに魔法の名にふさわしい、予想以上に強力な効果を発動させることが出来ます。自分の手番で1つしか実行できない「掘る」or「雇う」アクションとは別に魔法を使用することが可能なので、手番数+1とまではいかないが、手番数+0.5にするくらいの価値がある気がします。
たまたまかもしれませんが、私が遊んだときは、出てくる魔法カードは全て利用価値の高いモノばかりで、全部使いまくっていました。この魔法を使うことでやりたかったことが出来るようになり、これがまた楽しいし気持ちが良いです。そういうわけで魔法石を獲得できるトロールも無視できません。
何をやっても楽しいプレイ感
自分の領地をガンガン掘り進めていくのが楽しいし、掘り進めて資源や彫像が得られるのも面白い。掘るにしてもより高価な資源で掘ることで高得点を狙うというのも面白い。中央を掘り進めて、中央に近い階層に台座を配置して上に彫像を置いたときは、(それだけ勝利とはいきませんが)かなりやることやった感があります。
そんな感じで色々楽しいプレイが出来て、私のマウンテンキングの初プレイは非常に満足度の高いものでした。一緒にプレイしていた方も口をそろえて太鼓判でしたね。また何度も何度もやりたくなる魅力のあるゲームだと思います。
先行販売入手できなかったため購入した方に遊ばせてもらったわけですが、プレイ後に即日本語版の購入を決めました。面白さの指標は色々あると思いますが、それくらい私は面白かった作品でした。
拡張でソロプレイや協力プレイも可能になるらしく、そちらの発売も今から非常に楽しみですね。特にソロプレイは良くやるのでどんなプレイ感なのだろうか。
以上、2020年末発売の話題作マウンテンキングをご紹介しました。既に英語版プレイした方や日本語版先行プレイ勢からはかなり高評価なゲームで私も非常に一押しの作品です。
話題作のマウンテンキング是非プレイしてみてください。超おすすめです。
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