今回は2020年ドイツ年間ボードゲーム大賞のエキスパート部門にノミネートされていたボードゲーム「カートグラファー 完全日本語版(Cartographers: A Roll Player Tale)」を紹介します。
今年のエキスパート部門の大賞は、GPさんから日本語版の発売が予定されている協力型トリックテイキングゲーム「ザ・クルー」が受賞しましたが、この「カートグラファー 完全日本語版(Cartographers: A Roll Player Tale)」も負けず劣らず非常に面白いボードゲームです。
↓カートグラファーの日本語版が遂に発売!
カートグラファー 完全日本語版 ボードゲームの概要紹介
まずはカートグラファーズのゲーム紹介からしていきます。
ゲーム概要
季節によって様相が変わる国土を、手持ちの地図に書きこみながら素晴らしい領地を探し出し、高得点を獲得する
アークライト公式HPより抜粋
- 予定価格:¥1,800+[税]
- プレイ人数:1~100人
- プレイ時間:30~45分
- 対象年齢:10歳以上
- 難易度:★☆☆☆☆
カートグラファーは英語で「地図職人」のことを言います。「ドミニオン異郷」や「エルドラドを探して」などにも同様の単語のカードが登場しますね。
地図職人の名前の通りプレイヤーは地図職人になって、王国の地図を作成することになります。タイトル通りプレイヤーキャラクターメイクをボードゲームとして扱った「ロールプレイヤー」の世界観になっています。
ゲームシステムとしては、一時期流行った紙ペンゲームの一種です。プレイヤーはそのゲームの専用紙と鉛筆やボールペンを受け取り、そのボードゲームのルールに従って紙に文字や絵を書いていき、得点を競い合うのが基本的なシステム。
「Welcome to…」や「ガンツシェーンクレバー」などは有名でおススメの紙ペンゲームシステムのボードゲームです。
このカートグラファーズでは、プレイヤーはまっさらな方眼専用紙(地図)を1枚受け取りその上に、ペンで地図を書いていきます。
何を書くかは、ある程度指定されますが、どこに書くかはプレイヤーの自由です。
▼このゲーム専用の方眼紙(地図)。自分だけの地図を書こう。
春夏秋冬の四季に渡ってプレイヤーは地図を書いていきますが、それぞれの季節で得られる得点の種類が違います。春だとAAとBBという形や模様の土地があると点数がもらえますが、秋だとCCとDDという土地が無いと点数がもらえない、という感じで季節毎に得点できる配置が異なります。
得点の種類と書きましたが1つのゲームで使用する得点パターンはわずか4種類で、実際に用意されている得点パターンはその4倍16種類あります。なのでプレイ毎に得点パターンの組み合わせが異なり、効率的に得点するための書き方が異なりリプレイ性が担保されています。
更にモンスターが出現するとお互いを大なり小なり妨害し合うことが可能です。他プレイヤーの紙に書き込むというルールは、中々紙ペンではないアイデアなんじゃなかろうか。
プレイ人数が100人となっているのは、これまた紙ペンゲームの特徴で、紙が100枚入っているので同時並行で100人一緒に遊べますよってことです。
勿論そんな遊び方する人は世界中どこ探してもいないとは思いますが。。。Youtuberで「紙ペンボードゲームを100人でやってみた」的な企画とかが無いと駄目ですね(笑)
一度紙を使い切ると公式HPなどから印刷して使わないといけないのも紙ペンゲームの特徴です。
使い切りにしないように何枚かの紙をラミネート加工して、その上からホワイトボードマーカーで文字を書くようにするのがおすすめです。ラミネート加工はその辺で有料で請け負っているお店もあるので近くに無いか探してみるのが良いでしょう。
プレイ時間は公式通り30分程度の中量級になります。プレイ人数が増えても同時並行で文字を書くだけなのでそこまでプレイ時間は増減しません。
難易度・複雑度はアークライト公式では★1の最低となっていますが、流石にエキスパート部門ノミネート作品なので★2くらいは合っても良いんじゃないかと思います。複雑度が★1ってドブルとかキャプテンリノ位のイメージです(笑)
ただ、カートグラファーズは確かにそこまで複雑なことは要求されません。思い思いに地図を書いていけばそれだけで超楽しめます。多分小学生くらいの子供でも楽しめます。
驚いたのがそのお値段です。まさかの税抜き1800円。税込みで2000円もしません。元々紙ペンゲームは安いことが多いのですが、この内容でこのお値段なら間違いなく買いでしょう。
ざっくりルール説明
ここからはルール紹介です。ざっくりと紹介していきます。
セットアップ
各プレイヤー、王国のまっさらな地図である方眼紙を受け取ります。ペンを受け取ります。
春夏秋冬のカードを横に並べ、その下に4種類の得点カードを並べます。この得点カードには、例えば「異なる3種類以上のマークに隣接する村マークの塊1つに付き3点」とか「端から端まで11マス埋めたら6点」とかそういう得点方法が描かれています。
16種類から4枚選択して並べます。
この4種類にA~Dまでを割り当て、
- 春だったらAとBの得点カード
- 夏だったらBとCの得点カード
- 秋だったらCとDの得点カード
- 冬だったらDとAの得点カード
がそれぞれ有効になります。
▼A~Dの得点方法が毎回変わり、プレイ毎に新鮮な地図が出来上がる
Aが「端から端まで11マス埋めたら6点」だった場合、この得点カードは春と冬にのみ有効になるということですね。
プレイ開始
冒険カード13種類から1枚めくります。これには、今回地図上に描く形と絵柄が描かれています。
例えば、家の絵柄をエル字に書け、とか、水源の絵柄を直線4マスで描け、とかそんな感じで描かれています。
これを各人が自由に地図に書いていくわけです。
また、それぞれの冒険カードは、大体2種類から1つを選択するようになっています。例えば、2つの絵柄から1つを選んで書いたり、1つの絵柄で2つの形から1つを選んで書いたり、プレイヤーの方針次第ということになります。
地図上どこに書いても良いです。前に書いた場所に繋げる必要はありません。
コインマーク
カードにはコインマークがついているものがあり、これは1つにつき季節の終わりに1得点貰えるようになるというものになります。地図の下のコインマークにチェックを1つ入れます。
永続効果なので、春に取れば、春~冬で合計4得点になるということになります。ただし、そういうカードは小さい地形になっているため、思った通りの地図作りが出来ない可能性もあります。
地図にはコインマークが描かれた建物が建っています。これはこの周囲を囲むとそのコインマークを得たということになり、コインマークにチェックを入れます。
敢えてこのコインを得るために周囲に配置するか、それとも全く無視してプレイするか、悩ましいところでしょう
廃墟カード
冒険カードで廃墟カードが出た場合、もう1枚めくり、そのめくられた地形を地図上の「廃墟マークのある場所」に重なるように描かなければなりません。
1つの地図には6か所の廃墟マークがあるのですが、そこに重ねて絵柄と形を書きます。廃墟マークは別に廃墟カードが出なくても上を書きつぶせるため、戦略上早々に廃墟マークをつぶしてしまうということもあり得ます。
万が一廃墟マーク上に絵柄をかけなかった場合、ペナルティとして1×1マスの絵柄を好きな場所に書かないといけません。
待ち伏せカード
この待ち伏せカードが本ボードゲームの大きな特徴の1つです。
各四季の終わりに待ち伏せカードが1枚冒険カードに追加されます。冒険カードをめくった際に、その待ち伏せカードが出たら効果発動です。
これは先ほど紹介したモンスターで、めくられた場合、手持ちの地図を書かれている方向のプレイヤーに(時計回りやその逆)渡します。
そして各プレイヤーは隣から渡された地図にモンスターの絵柄と指定された形を書き込むことになります。
モンスターの地形の周りは、なんと空きマス1つにつき、各季節で-1点になります。何もしなければ大体-6点くらいにはなります。放っておくとかなり大きく減点されますし、完成させたかった地形も完成させづらくなることでしょう。
ということで、嫌らしい位置に書き込めば相手はそれなりに大きく失点し、相手を妨害することが可能です。
四季の終わり
各冒険カードには数字がかかれています。これはその図形を地図に書くのにどのくらいの月日が流れるかという指標です。その数字が一定以上(春なら8だし、冬なら6)となると季節が終了することになります。
春はそれなりに沢山のマスを埋められますが、後半になるにつれ数字が小さい=場に出る冒険カードが少ない=埋められるマスが少ない、ということになります。
季節の終わりには、得点計算が入ります。
- 各季節で指定された得点カードA/B/C/Dをどれだけ満たしたか?
- コインマークは何個チェックされているか?
- 周囲が埋まっていないモンスターマスは何個あるか?
これらを計算して今の季節の得点とします。
ゲームの終わり
冬が終わった時点でゲーム終了です。
春から冬までの4季節で得た得点を合計して最も勝利点の多いプレイヤーの勝ちです。
世界に一つだけの地図を作ろう。「カートグラファーズ もうひとつのロールプレイヤー物語」レビュー
まずは本ボードゲームのお勧め度ですが文句なしに5点満点中5点です。
あまり注目していなかったカートグラファーズですが、プレイしてみると予想より2周り位面白かったというのが率直な感想です。
紙に地図や絵柄を書くと言えば「パッチワークドゥードゥル」があります。似たような方眼紙にペンで書いていくゲームでしたが、あちらは紙ペンゲームとしてやや作りが粗く、個人的にイマイチさを感じのものですが、この「カートグラファーズ」には全くイマイチさを感じませんでした。
初プレイでは兎に角楽しすぎて夢中になって地図を書いていました。まだ2020年8月ですが2020年の紙ペンゲームトップは、これだと言っても過言ではなさそうです。
ドイツ年間ボードゲーム大賞ノミネート作品
2020年ドイツ年間ボードゲーム大賞のエキスパート部門ノミネートは伊達じゃないですね。これは通常部門にノミネートしても良かったんじゃないかという感じ。そして十分大賞を狙えるだけのポテンシャルがあったボードゲームだと思います。
ルール説明のところである程度の想いは書いてしまいましたが、改めてカートグラファーズの良いポイントを上げていきますと。
安定したバランスの取れた面白さ
何度も書いてしまいましたが、このボードゲームのバランスは本当に程よいと感じました。
このバランスが本当に凄い。
全体的にちりばめられた色々な工夫されたポイントにおいて、その全てがバランス良く出来ていると思います。
何度遊んでも安定して面白いということです。
程よいインタラクション
プレイヤー間のインタラクションもきつ過ぎず、かといって全然無いようには感じず兎に角心地よい位です。また、相手への攻撃(モンスターマスを書き込む)は、全員が同時に行うため、そこにはなんで自分ばかり狙われるんだ・・・といったインタラクションの不公平さは存在しません。
程よい配置制限
廃墟カードによる配置制限も本当に程よいです。
通常自分の好きなようにマップ中に書き込めますが、時折登場する廃墟カードだけは配置制限がかかります。ただ、これも全くイライラするものではなく、程よく配置を制限させられるという感じです。
程よい悩ましさ
基本的に地図にはのびのび好きなように思うが儘に書けます。
これはかなりストレスフリーに書いていけます。
しかし、全く悩ましくないわけではなく、秋や冬の終盤になってくると配置が悩ましくなるようにできています。最初はノビノビ、最後は悩ましい、これも非常に程よいと感じるポイントです。
程よい、心地よい運と実力のバランス
運と実力のバランスはかなり程よいと思います。私がプレイしたときは、ルールの1つを勘違いしていたプレイヤーが勝ってしまう位です。
兎に角得点に向けて自分の好きに配置して行くことで、それなりに得点できますし勝てるようになっています。何より、勝てなかったと言ってもあまりストレスになるようなゲームシステムではありません。
値段が安すぎる
大賞を取ったザ・クルーが2000円で出してきておりあちらも驚きましたが、こちらも税抜き1800円と驚きのお値段です。
お互い意識したんでしょうか?これは間違いなく両方買いでしょう。ここまで低価格で提供してくれるなら(今後への期待や応援の意味も込めて)買わない選択はないかと思っています。
何度もやりたくなる中毒性の高さ
30分程度で終わるということもあり、更にプレイ感も軽いので気軽にサクッと遊ぶのに向いています。
更にリプレイ性も高いため、もう1回やりたくなります。前回の地図の反省を活かして、色々試行錯誤して改善していくという面白さがあります。
悪いポイント・・・はそこまで無いと思いますがあえて挙げるとすれば以下でしょうか。
用紙は使い切り
専用紙は100枚入っているため、そう簡単には使い切れませんが、気になる方はラミネート加工することをお勧めします。もしくは公式HPなどからダウンロードして印刷して使いましょう。
気になるポイントはそれくらいですかね。悪い点が全然思いつかないくらいには、完成度が高い非常に面白いボードゲームだと思います。
以上、カートグラファーの紹介でした。
面白すぎて、手放しで素直にアタリだと言って良いボードゲームですね。日本語版もアークライトさんから発売されました。気になる方はチェックしてみてください。
↓カートグラファーの日本語版が遂に発売!
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