一人用のソロ専用ボードゲームとしてNO1と名高いボードゲーム「ネモの戦い~海底二万マイルを超えて~」を紹介します。まずは「ネモの戦い~海底二万マイルを超えて~」のボードゲーム概略の紹介から、詳細は順次紹介していきたいと思います。
最初に注意しておきますと、小説海底2万里の若干のネタバレ含みます。このブログの読者はあまり気にしないと思いますが念のため。
直訳だと「Nemos War」なので「ネモの戦争」ですが、「戦争」という単語が良く無かったのか、アークライトさんによる日本語化に伴い「ネモの戦い~海底二万マイルを超えて~」というタイトルになりました。
ネモの戦い~海底二万マイルを超えて~とはどういうゲームか?
ネモの戦いは、フランスの小説家ジュール・ヴェルヌの作品「海底2万里」をテーマにしたボードゲームです。
海底2万里を知らなくても楽しめますが、読んだことがあれば更に楽しめる作品です。
海底二万里の小説としての概要ですが、謎の人物ネモ船長により極秘に建造された潜水艦「ノーチラス号」の冒険譚です。
大西洋で船が船底に大穴を空けられて沈められるという事件が多発。人々はそれが謎の巨大生物の仕業や超常現象によるものだろうと噂をしていた。
が、実はそれはネモ船長率いる潜水艦ノーチラス号の仕業でしたと。
ネモ船長はノーチラス号で世界中の海洋を旅し、非常に希少で珍しい遺跡などを発見をしたり、時には戦艦や商船をノーチラス号の船首?で攻撃して穴をあけて沈めたり、怪しさ満点のネモ船長による様々な海底冒険ロマン。
という感じの小説ですかね。この小説を題材に扱ったのがこれから紹介する「ネモの戦い」です。
↓プレイ前には原作を絶対に一読しておいた方が良いです。
一方で「ネモの戦い 2nd エディション」は2017年に発売されたソロ専用のボードゲームです。
2nd エディションということは1st エディションもあるわけですが、1stエディションが発売されたのが2009年になります。この2009年に発売された1stエディションをリメイクして、全てを一新したのが2017年にキックスターター経由で発売されたネモの戦い 2ndエディションになります。
▼メインボードはかなり巨大

今から「ネモの戦い」を遊ぶのであれば間違いなくこの2ndエディション1択です。
ボードゲームとしては、ダイスロールを中心に如何に高得点を稼いでゲームを終了するか、というスコアアタック系のボードゲームになります。しかし、その得点方法が多岐にわたるのがポイントです。
ネモ船長には冒険の目的があり、その目的に応じて同じ得点方法でも得点が変わってきます。例えば、冒険の目的が「戦争」であれば、戦艦を撃退することで高得点が得られますし、目的が「探検」であれば未知のモノを発見することで高得点が得られます。
この目的別に得られる得点が違うという点が最もリプレイ性を高める仕掛けになっており、遊ぶ毎に立ち回りを変えてプレイする必要が出てきます。
このボードゲームは海外のソロプレイランキングにも高順位で載っているように、ソロプレイが楽しめるボードゲームです。と書きましたが実はこのボードゲームはソロ専用と言っても良いと考えています。
こういっちゃなんですが、このボードゲームのマルチプレイは、いわゆるソロプレイに取ってつけた系の要素であり、全くお勧めできません。なので実質ソロ専用ボードゲームと言ってよいでしょう。
そういう意味で「メイジナイト」や「スピリットアイランド」などソロが面白いボードゲームはまだまだ上があれど「ソロ専用」なボードゲームとしてはこれが最高峰だと思います。
ネモの戦いのゲームシステム
ここからはネモの戦いのゲームシステムに関して紹介していきます。
スコアアタック
先ほども書きましたが、ネモの戦いは得点獲得が主な目的になっているゲームです。
プレイヤーの行動はどんな行動でも大体得点に繋がるようになっています。戦艦や民間船の撃退、ノーチラス号の強化、探索、シナリオの達成、船の修復、民衆の扇動、など。実に様々な得点方法が用意されています。
スコアアタックと書くとちょっとニュアンスが違うかもしれませんが、ゲーム終了時のエンディングはプレイヤーが獲得した得点に応じて変化します。
ゲームクリア自体はそこまで大変ではありませんが、クリアしたとしても100点の時と200点の時では、ネモ船長がハッピーエンドになったりバッドエンドになったりとエンディングが異なるため、クリア成功と失敗レベルで違いがあることになります。
ちなみに高得点を獲得するのはかなり難しい歯ごたえのあるゲーム難易度になっています。
ダイスゲーム
ゲームシステムとしての大きな特徴はダイスゲームということでしょう。大体のアクションにはダイスロールによる成否判定が必要になります。
敵戦艦への攻撃、船の修復、探索、クエストのチャレンジ、どれもこれもダイスロールを行い、失敗するとペナルティが待っています。
じゃあ運ゲーなのか?ということですが、このボードゲームにはダイスロールの成否判定を調整する様々な方法が用意されています。
ダイス降り直す、ダイスの結果に+3する、など。何度も使えるものから、一回こっきりのものまで、これらの調整システムを上手く活用することで、安定した結果を残せるように調整できます。
ただの運ゲーではなく、プレイヤーの実力に依る運ゲーという感じになります。
ストーリーベース
元ネタが小説ということもあり、ゲーム中には数多くのフレイバーがちりばめられています。小説に出てくるシーンが切り取られてストーリーカードとして使用されています。このフレイバーを楽しむことで、このゲームがより一層楽しくなるようにできています。ここも海外で評価が高いポイントです。
登場人物もノーチラス号に捕虜として搭乗することになった海洋生物学者「アロナックス」など大体の小説の人物が登場します。日本語化されるにあたって、日本語版の原作小説を読んでおけば、このゲームが更に楽しめることになります。おすすめです。
戦闘・戦争
民間船や軍艦との戦闘が多いゲームです。全く戦闘しないプレイはゲームオーバー条件の1つに引っかかるため恐らく不可能です。この敵の船のバリエーションの多さは非常に特徴的で魅力ですね。

能力の違う難易度の違う多くの船が登場します。これらとのやり取りがこのゲームの魅力の1つです。
『ネモの戦い』のレビュー
ネモの戦い遂に発売です。
アークライトさんから日本語化されるという驚異の発表があったわけですが、これを日本語版で遊べるのであれば文句なしに満点です。英語版だとフレイバーによる没入感が減るのでやや楽しさ減で勿体ないところ。
ソロプレイボードゲームの最高峰
ネモの戦いは、ソロプレイボードゲームとしてしっかり面白く楽しめます。ただ、後述しますが個人的に欠点だと感じる点は無くはないです。
私がネモの戦いを知ったのは、BGGのソロプレイボードゲームランキングからです。
これらの記事を書いていた際に「ネモの戦い」の存在を知りました。「ネモの戦い」は、何と2年連続でランキング15位前後と非常に高評価の作品です。日本語化されているボードゲームで15位ではなく、世界中でこれまで発売されている全ボードゲームの中で15位なのでこれは凄いことです。
動画等で何となくのゲームイメージは把握できましたが、これまでイマイチどんなボードゲームかは知りませんでした。海底2万里をテーマにしたボードゲームで、ダイス振って何かする。そんな適当なイメージでした(笑)
ただ、この自粛期間でソロプレイボードゲームの需要が高まり、私個人的にもソロプレイボードゲームの有名どころは大分遊んできたのですが、やはりもう少し色々なソロプレイボードゲームを遊んでみようという想いから英語版を購入して分厚いルールブックを英語で読み込み遊んでいました。
ただ、その直後に日本語版発売決定のアナウンスが(笑)
2019年の話ですが「ロビンソン・クルーソー呪われし島の冒険」などは、恐らく日本語版が出ないと考えて英語版を買ったのですが、結果、日本語版が出てしまいました。今年はまさか「ネモの戦い」は出ないだろうと書いて英語版を買ったのですが、まさか日本語化されるとは。。。ボードゲーマーにあるまじきプレイミスを連発してしまいました。これで予想は2年連続外してます(笑)
マルチプレイはオマケ
このボードゲームのマルチプレイはソロ専用色が強いです。あまりマルチプレイで遊ぶようなゲームでは正直無いです。なので実質ソロ専用でここまで大きく値段も高めなボードゲームを、果たして日本の販社が日本語化するだろうかって思ってたんですけどね。ソロ色が強いボードゲームはプレイ人口は少な目だと思うので、あまり数が出ない可能性は高いですし「ネモの戦い」はストーリー重視で言語依存もそれなりにあるため日本語化のコストも大きいかなと。
コロナ禍での巣ごもり需要を見越した、ソロプレイ向きボードゲームの日本語化の一環という感じでしょうか。日本語版が出るというのは素直に喜ぶべきところですし、アークライトさんには感謝したいところです。これくらいの日本語化コストはものともせずに、日本語化してローカライズしてくれるというのは大変有難いかぎりです。
ゲームフレイバーが最高
このゲームはフレイバーも大きな魅力の1つです。「第七大陸(The 7th Continent)」のようなボードゲームも「ネモの戦い」同様にソロプレイで非常に高評価ですが、レガシー依りのシステムですし、こちらは日本語化されていないと楽しさ減かと考えて、英語版の購入は見送っています。
フレイバーを読むことで世界に没入できるタイプのボードゲームなので「ロビンソンクルーソー呪われし島の冒険」のように、英語フレイバーは読まなくても良いですが読んだ方が断然面白くなるタイプです。それ以外だと説明書以外は別にそこまでプレイが困難なほどの英語ではありません。
ネモの戦いは、日本語版になってしっかりフレイバーが楽しめるようになったので、是非しっかり読んで、読み飛ばさずに堪能することをおすすめします。
エルドリッチホラーに似たてんこ盛りの要素
さて、実際のネモの戦いを遊んだ感想ですが、率直なイメージとしては「エルドリッチホラー」に似ていると思います。フレイバーを楽しむ、ダイスロールで成否判定、要素数も多い、結構理不尽、徐々にきつくなってくる。流石にあそこまで要素モリモリゲームでは無いのですが、プレイ感としては実にあんな感じの印象ですね。
「エルドリッチホラー」は私個人で毎年勝手につけている2018年ソロプレイボードゲームランキング1位の作品です。エルドリッチホラーはソロプレイで非常に満足度の高い作品で、私の個人的なネモの戦いの評価としてはそれに比肩するような面白さを感じたソロプレイのボードゲームということになりますね。
リプレイ性の高さ
ネモの戦いは、ソロ専用ボードゲームとしては最も巨大なコンポーネントが用意されており、1プレイ2時間はみっちり遊べるボードゲームでプレイ後の満足感も高いです。リプレイ性もしっかりあり、プレイ感もプレイ毎に変わってくるのは、しっかり面白いですね。逆に言えば2時間かかるので長すぎると感じる人は出てくるかもしれません。
ダイスロールの運が強め
このゲーム、思い通りに上手くいったときは非常に楽しいのですが、ダイスロールが根本のシステムなので、幾ら調整したところで失敗することもあります。このダイスロールに一喜一憂することになるので、失敗したらイライラしてしまう人にはあまり向いていないと思います(笑)
このボードゲームの一番の気になる点としては、幾ら自身を強化したとしても、常にダイスロールによる運が付きまとうという点でしょうか。まあダイスロールゲームというのはそういうものなわけですが。ノーチラス号を強化したり、カードの特殊効果などをいつでも使えるようにスタンバイして、出目を調整することはできます。しかし、そこまで準備してもままならないことも多いです。
例えば、1~6の6面ダイスを2つ振ってその合計13以上を出さないと勝てない、という意味不明なインチキ戦艦が終盤はわんさか出てきます(笑)。2d6で13以上ってどういうこと?(笑)。
これをダイス出目を調整する能力を駆使して、例えば、出目に+3する能力を使って、出目の合計が10以上出せば勝てるように能力変化させて挑むわけです。しかしサイコロ2個振った値の合計の期待値は7ですから、確率的に振りなのは目に見えています。
そこから更に1度きりしか使えない切り札的な補助カードを使用して、更に出目を+3して、結果出目合計が7以上出せば勝てるように調整します。更にはもしもの時のために、ダイスロール後に後出しで出た目を+3出来る緊急カードもスタンバイしており、万が一の時にはこれを使う準備は万端です。
つまり、大量の補助カードを駆使した結果、出目の合計が2か3が出なければ成功となります。
目標値13!
1度きりの切り札を2回使用して目標値は7!
ダイスロール!
2つのダイスの出目は1と2で合計3!
追加切り札カードで出目を+3しても目標値7に届かない!
リソース全部使い切ったけど大失敗でノーチラス号終了!(ああああああああ!!!!!!)
(ノ ゚Д゚)ノ == ┻━━┻
まあ、こんな感じで全力で切り札やリソースを吐き出しても、大失敗してしまうようなことが起きるわけです(笑)。
ちなみにダイスロールに失敗すると、使用した切り札を失うことは勿論のこと、勝利点が減ったり、船のリソースが失われたりと少なくないペナルティが待っています。こうなるとノーチラス号が弱体化して更にジリ貧になっていきます。ここで心穏やかになれる人と、怒髪天をつく人とで、2分割されるでしょう(笑)
(ノ ゚Д゚)ノ == ┻━━┻
まあ、どちらかというとこういう強敵に挑むのは終盤ですし稀で、多くの場合は如何にして不必要なダイスロールを回避するかという立ち回りが重要になってくるボードゲームですね。
無理にリスクをおって成功させようと出目を調整するより、最小限のダメージを許容して、高得点に繋がるいざというときに全力を注ぐというのが正しいでしょう。
俺TUEEEして無双するというボードゲームではないということです。ここはやや思っていたのと違うと感じる人はいるかもしれませんね。
総合評価
ボリュームや全体のサイズなどから「ソロ専用」ボードゲームとしては最高峰と呼んでよいのは間違いないと思います。ここまでのボリュームのソロ専用ボードゲームは私は他には知りません。
同じくソロプレイ向きボードゲームとして高評価されている「メイジナイト」や「スピリットアイランド」は運控えめで、じっくり頭を使って戦略を練る必要があります。一方で、「ネモの戦い」は戦略はあれど、良くも悪くも運要素はそれなりにあります。頭を使って戦略を練るというより、ダイスロールによる運依存が大きいということですね。どちらが良いかは個人の好き嫌いの分かれるところでしょう。
勿論安定して高得点でクリアできる人もいるようなので、そう考えると如何に期待値の高い行動をとるかを頭を使って考えるゲームと言えるかもしれません。私はまだまだプレイ経験が浅いためそこまでの境地には到達できていません。
私の2020年のソロプレイ向きボードゲームランキングでは、ネモの戦いは6位という結果になりました。2020年はグルームヘイヴンやイーオンズエンドなどの強すぎるソロゲーが出た豊作の年でしたね。
個人評価:★★★★★★★★☆☆
以上、「ネモの戦い」の概要とレビューでした。
実質ソロ専用というのもあり日本ではあまり有名ではなく、日本語の参考サイトは無いに等しかったため、次回の記事からは私自身の備忘録もかねてゲームの詳細記事を書いています。全8回の特集記事で世界有数のボードゲーム「ネモの戦い」に詳しいサイトになっていると思います(笑)
良かったら是非チェックしてみてください。
↓カードは「89×63.5mm」なのでレギュラーサイズのスリーブでOK
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「ネモの戦い」はソロプレイで人気があるとネットで見ていましたが、ゲーム内容の説明はみかけなかったので、このサイトを見つけた時はすごく嬉しかったです。
興味がわいたので、日本語版を予約しました。
このサイトを参考にしながらゲームを楽しめそうなので感謝です。
「海底二万里」は昔に読んだ本で、フレーバーを味わえるように、ゲームが届くまで再読しようかなと思っています。
>杏奈さん
コメントありがとうございます。
ネモの戦いはほぼソロプレイ専用ボードゲームと言って良い内容で、このご時世に最適かもですね。
記事は自分の備忘録もかねて書いたので、良く読めば大体のルールが把握できるように書いてあります。
説明書は結構手ごわいと思うので、このサイトが参考になれば幸いです。
ゲーム内の出来事や登場人物は原作をしっかり踏襲しており、フレイバーの評価も高いゲームです。
「海底二万里」を読んだことがあるなら、更に楽しめるボードゲームだと思います。