今回はホビージャパンさんより2021年8月に発売が予定されているボードゲーム「クロックワーカー」のゲーム内容を紹介していきます。
今年のゲームマーケットの展示を見て気になっていた人も多い作品かと思います。
ということで今回は「クロックワーカー」がどういうボードゲームなのか、ルール紹介とレビューを交えて説明していきます。
クロックワーカー 基本情報
デザイン | りかち(System) Yustas S(Art) |
---|---|
プロデュース | ねいじまとうこ |
プレイ時間 | 約45分 |
プレイ人数 | 2-4人 |
対象年齢 | 12歳以上 |
版元 | ホビージャパン |
販売 | ホビージャパン |
発売日 | 2021年8月 |
希望 小売価格 | 4,070円(税込) |
クロックワーカー ボードゲーム概要
地球にヒトがいなくても、労働はつづく。
2XXX年、地球は人類の高度に発展した科学文明によって荒廃した。人類は資源が枯渇した地球を見捨て、後には旧式のロボットたちが残されていた。数年後、自意識に目覚めた彼らは、人類が遺した工場や機械を再び稼働させていく……。
『クロックワーカー』は、2人から4人まで遊べるワーカープレイスメントゲームです。廃墟となった工場を再稼働させ、資源を獲得し、資源を使って人類の遺した技術を再発明しましょう。
遺物を獲得すれば、新たな特殊能力や勝利点を得られます。
このゲームのカギは、ワーカーの配置方法と、ワーカーが資源を獲得するタイミングです。ワーカーを置くことができる場所カードには、マスが複数あり、ワーカーは上から順にしか置くことができません。また、資源はワーカーを回収する際に獲得できますが、回収できるのはワーカーを置いた次の手番以降で、それも一番上から1体ずつしか回収できません。時間差で帰ってくるワーカーたちを待ちながら、効率よく勝利点を獲得していきましょう。
引用:ホビージャパン公式HP
科学によって発展と荒廃がもたらされた近未来、人類は地球から脱出。しかし地球に残されたロボットのワーカーたちは、稼働し続け、徐々に独自の世界を形成していく。
という感じの世界観のゲーム。登場人物は全てロボットです。
2~4人プレイ可能なボードゲームで、システムとしてはワーカープレイスメントと拡大再生産です。
ワーカープレイスメントといっても、アグリコラのような場所を先取りするタイプではなく、自分の手元のアクションを多く実行するためのワーカーなので、苦しさはありません。
名作時間差ワーカープレイスメントゲームのリメイク
当製品は、ボードゲーム制作サークル「四等星」のりかち氏による作品『プラネトリコ』をもとに、システムのディベロップとアートワークを新しくしたリメイク製品です。
カードの能力などを調整したほか、「レコードタイル」という新たな勝利点戦術を追加しています。また、2人用ルールも追加されています。
コンポーネントも豪華になり、小さなかわいいワーカーたちは一見の価値あり! 『クロックワーカー』の世界にようこそ。
引用:ホビージャパン公式HP
クロックワーカーは、元々はゲームマーケットで販売されていたインディーズ発のボードゲーム「プラネトリコ」がベースとなっており、ホビージャパンさんから幾つかの要素を加え、ブラッシュアップして再登場した作品です。
コンポーネントもかなり豪華でしっかりしたつくりになっています。
クロックワーカー ルール概要
ここからはクロックワーカーのルールを説明していきます。
幸いにも遊ばせていただく機会があったので、詳細に説明していきたいと思います。
カードの説明
このゲームには2種類のカードが登場します。
- 場所カード
- 遺物カード
場所カード
自分だけのワーカーを配置するための場所です。ロボットを派遣して場所を探索して、落ちているものを漁って資源を獲得するために使用されます。
▼場所カードは裏面が赤。左上がコスト(3ギア必要)。ワーカーは3体まで派遣可能
最初全プレイヤーは初期の場所カード1枚しか持っておらず、自分のワーカーはその場所のみを探索して資源を獲得するのですが、新しい場所を発見する(場所カードを獲得する)ことで、様々な資源を獲得出来るようになっていきます。
場所カードは何れもギア(この世界のお金)を払うことで獲得可能です。ロボットがギアを使って探索して見つけた場所、という感じのフレイバーでしょうか。基本的にギアはこの場所の発見のみに使用されます。
遺物カード
地球に眠る遺物です。これらはいずれも特殊なキューブ資源を使って獲得します。
かなり特殊な永続効果を得られるカードで、更に勝利点が得られます。
▼遺物カードは裏面が青。左上がコスト(赤1、緑2、青1キューブが必要)。一番下が特殊能力(レコード獲得時に3勝利点獲得)。右下が勝利点(1点)。
「XXXをしたタイミングで+1金を得る」だとか、「ワーカーを獲得したタイミングでキューブ1を得る」とかよくある特殊能力が得られるカードが20枚近く用意されています。
資源の説明
このゲームには様々な資源が登場します。
- ギア
- 赤キューブ
- 青キューブ
- 緑キューブ
- 黄色キューブ
- ロボ
ギア
このゲームの世界のお金のようなものです。
主に場所カードの獲得に使用されます。
ギアでロボを稼働させて場所を見つけるということだと思います。そう考えるとお金という表現はあまりしっくりこないかもしれませんね。
赤、青、緑キューブ
このゲームの世界の特殊資源です。場所を発掘するとドンドン見つかります。
遺物カードやレコードタイルの獲得に使用されます。
主に得点を得るための資源ということになります。
黄色キューブ
どんな色のキューブとしても使用可能なオールマイティーキューブです。
ロボ
このゲームの世界では地球に残されたロボット、つまりワーカーです。
基本的には場所カードから資源を得るために使用されます。
なんと新しいロボは、場所から発掘され、資源として獲得されてドンドン増えていきます。
ゲーム全体の流れ
このゲームは、2つのフェイズからなります。
- 帰還フェイズ
- アクションフェイズ
手番プレイヤーがこの2つのフェイズを実行したら、時計回りに手番を回します。
あとはゲーム終了までぐるぐる手番を回していきます。
①帰還フェイズ
このゲームにおける特徴的なシステムがこのフェイズです。
自分が保持する全ての場所カード上の、一番上のワーカーを回収して、そこに描かれている資源を獲得します。
つまりワーカーは配置したときに資源が貰えるのではなく、帰還して手元に戻ってきた際に資源をもたらすことになります。
▼この場合は、左のカードからギア1、右のカードから赤キューブ1を獲得。
更に全ての場所カードから帰還するので、なるべく多くの場所カードに沢山ワーカーを派遣しておいた方が、効率的に資源が獲得できることになります。
得られる資源は先ほど紹介した6種類です
- ギア
- 赤キューブ
- 青キューブ
- 緑キューブ
- 黄色キューブ
- ロボ(追加のワーカー)
このゲームのワーカーは、基本的に場所を発掘した資源としてガンガン獲得可能です。
②アクションフェイズ
次にアクションフェイズです。このゲームのアクションは6種類から実行が可能です。
手番プレイヤーはこれらから1つを選択して実行します。
- A:回収:ワーカーを回収して資源獲得
- B:派遣:ワーカーを配置する
- C:稼働:場所カードを1枚購入
- D:修理:遺物カードを1枚購入
- E:通信:レコードタイルを1枚購入
- F:充電:ギア2を得る(2金得る)
A:回収:ワーカーを回収して資源獲得
「①帰還フェイズ」と似たようなアクションですが、こちらは1つのカードからのみワーカーを回収して資源を獲得可能です。
基本的に場所カードは下の方が強い効果になっているため、早くワーカーを回収して早く資源を獲得するのは良い場合もあるでしょう。
特定の資源の獲得を急ぐ場合などに有効かと思います。
B:派遣:ワーカーを配置する
手元の場所カード1枚に好きな数のワーカーを配置します。
ワーカーは即時に資源をもたらすわけではなく、この派遣アクションで場所カード上に配置した後に、帰還フェイズで自分の手元に帰還する度に資源をもたらしていきます。
また、手持ちの場所カードが6枚以上ある場合は、任意の2か所にワーカーを配置可能です。
どんなに沢山ワーカーを持っていたとしても、最大で2か所にしか派遣できないため、派遣アクション1回では資源の大量獲得はしづらくなっています。
ワーカーを配置するのは上から順番である必要があります。一番下の効果が大体一番強く作られているのですが、いきなり一番下だけにワーカーを配置するなどはできません。
非常に重要なアクションで、何らかの資源が欲しくなったらこの「派遣アクション」を実行する必要があります。
C:稼働:場所カード1枚獲得
場所カードは常時5枚並んだ状態になっていますが、この場所カード5枚の中から1枚を獲得します。
場所カードを誰かが獲得したら山から補充され、常に場には5枚にになるようにします。古い場所カードには、必要コストが安くなったり、獲得時に資源が得られるなどの特典が付きます。
左上がその獲得コストです。コストや得られる資源は場所カードによって様々です。
場所カードからは資源が得られるため、序盤は積極的にこの場所カードを獲得することになるでしょう。
D:修理:遺物カード1枚獲得
遺物カードは全種類が全て公開された状態でゲームが始まります。その遺物カードの中から1枚獲得します。
全ての遺物カードは勝利点をもたらします。またそれ以外にも追加の効果を持っています。
「資源獲得に有利になる」「即時に大量のギアを得る」「ゲーム終了時に大量勝利点」「ワーカーを得やすくなる」など効果はカードによって様々です。
遺物カードの獲得にはコストとして3色の「キューブ」が必要です。コストはカードによって様々ですが、狙ったカードを得るためには、それなりにキューブの色を意識する必要があります。
各遺物カードの枚数は上限がある(基本2枚、一部だけ1枚)ため、基本的に早い者勝ちです。自分の欲しい能力が得られるかは他プレイヤーとの兼ね合いとなります。この辺の先勝ち要素がこのゲームのインタラクションになっています。
E:通信:レコードタイルを1枚獲得
レコードタイルは最初から場に5枚並んだ状態になっており、誰かが獲得したら山から補充されていきます。このレコードタイルを1枚獲得するアクションです。
獲得に必要なコストはタイルによって異なり、キューブやギアですが、レコードタイルは何れも勝利点をもたらします。
このレコードタイルはゲーム終了条件にもなっており、一定枚数獲得されたらゲームが終了します。
F:充電:ギア2獲得
ギア2を得るだけのアクションです。
他のアクションに比べると基本的に弱い行動だと思いますが、このゲームは意外にギアを得づらいようにできているため、使うタイミングはあると思います。
ゲーム終了条件
以下の2パターンのどちらかが満たされたタイミングで、スタートプレイヤーの右隣りまでプレイして終了。
- 場所カード、遺物カード合わせて12枚獲得した
- レコードタイルが一定枚数獲得された(プレイヤー人数に応じて異なる)
以下の勝利点を計算します
- 遺物カードに書かれた得点
- レコードタイルに書かれた得点
- 遺物カードの特殊能力で得られた得点チップの得点
これらを合計して最も得点の多いプレイヤーの勝ちです。
クロックワーカー 所感とレビュー
2021年春のゲームマーケットの展示で何かと話題になっていた作品が遂に登場です。
この「クロックワーカー」はボードゲームサークル「四等星」りかちさんが作成された「プラネトリコ」をベースに、ホビージャパンさんからねいじまさんプロデュースでリメイクされた作品とのことです。
ちなみに「プラネトリコ」は名前の通りあの「プエルトリコ」から来ています。作者のりかちさんは大のプエルトリコファンだそうで、この「クロックワーカー」にも拡大再生産要素が入っています。
実際に遊んでみましたが、話題作だけあってこれは普通に面白いですね。見た目も中身もかなりワクワクできる作品だと思います。
時間差ワカプレについて
ゲームシステムとしては拡大再生産とワーカープレイスメントですが、時間差ワカプレになっているのが大きな特徴です。ちなみにもっと早くに発売予定だったらしいのですが、諸事情により発売時期も時間差になってしまったようですね。
この時間差ワーカーのシステムですが、遊んでみると、なるほどこれは理にかなっているという感じ。ロボットをある場所を探索するために派遣するわけですが、探索した場所から資源が得られるのは、そのロボットたちが帰還したときというわけですね。
ただ、この時間差ワカプレは中々手ごわいシステムになっており、真面目に考えようとすると、どの資源を得られるタイミングは何ターン後なので、ここでこのアクションをしてこの資源を得て・・・とかなりしっかり考える必要が出てきます。将来的に得られる資源を先読みできる分、考えられることが増えるわけですね。
どうしても負けたくない、クロックワーカーガチ勢はそういうガッツリ何手先読みなどをした頭を使ったプレイもよいかと思いますが、私のようにあまり深く考えずにプレイしても、意外に悪くはならないようにできています。
「場所カード」を横展開してそれらに適当にワーカーを派遣するだけで、毎ターンポコポコ資源が入ってくるので、それだけでもう楽しいです。
遺物と拡大再生産
特殊能力を与えてくれる「遺物カード」は様々な効果が用意されており、何れも強力です。場の状況や、自分の戦略に応じて色々使い分けてみるのが面白いですね。どんな特殊能力でも色々使い分けて戦ってみるというのは個人的にはかなり好物な要素です。1度のプレイでは遺物カードの一部しか使えないため、そこもリプレイ性の高さに繋がっています。
遺物・レコード・場所をそれぞれ特化したり、バランス良く獲得したり戦略は様々ですが、中には結構強力な能力の組み合わせもあるように思います。
拡大再生産系のゲームではあるのですが、ワーカーを派遣できるのは1アクションで1か所、中盤以降でも最大で2カ所までなので、どんなに大量に場所カードやワーカーを確保したとしても、そこまで爆発的に資源は得られないようになっています。そのため、最後まで大差がつきにくいように設計されているように思いますね。
また、ゲーム終了条件はそれなりに簡単に満たすことが出来るので、生産能力を増やし過ぎてもそれを享受する前にゲームを終わらせられることも良くあります。なので資源をガンガン獲得しているプレイヤーが、実は大して得点を得られていない何ていうこともあるので、拡大再生産ばかり目を向けては上手くいかないようになっています。
ワーカーについて
ワーカープレイスメント系のボードゲームは、基本的にワーカーをガンガン増やすことが勝利に繋がることが多いのですが、このゲームのワーカーは思ったより簡単に手に入る上に、1度に派遣できる数には上限があります。ワーカーを増やしたはいいけど持て余す何てことも
そんな感じで、何でもかんでもワーカーを増やせばよいというものではないのは、良いポイントかと思います。ちなみに4人プレイだと大量に入っているワーカーコマが若干カツカツになる位増えていきます。
プレイヤー間インタラクション
プレイヤー間のインタラクションとしては、プレイヤーへの直接攻撃などは皆無で、あるのは何れも「宝石の煌き」などと同様な先取り要素がメインとなります。なので、他のプレイヤーと狙いが被ると多少ダメージがある程度で、他プレイヤーの行動による苦しさはそこまで無いと思います。
他のプレイヤーに先を越されて狙い通りに獲得できなかった場合でも、その資源を別の用途で使うことはできるので、そこまで気にしなくても問題ありません。
ゲームの終了条件を満たすタイミングはそれなりに重要で、資源獲得用にワーカーを配置したと思ったら、次のプレイヤーが終了条件を満たしてしまい、派遣したワーカーは何も生み出さずに終わってしまうなんてことも。。
その他アートワークやコンポーネント
アートワークと世界観も、このゲームのシステムとかなりマッチしており良い感じです。END時の遺物カードにも描かれているように、ちゃんと最後にロボたちのストーリーのオチまで用意されています。
コンポーネントはかなりしっかりした作りになっており、実際に見てみればかなり良い出来だとわかると思います。ゲームマーケットで多くのボードゲーム好きの目を惹くだけのことはありますね。特にロボのコマの作り込が良い(笑)。
プレイ時間は60分かからないくらいで、しっかり遊べる中量級の定番作品の1つになるんじゃないでしょうか。
これは普通に面白くておすすめです。
個人評価:★★★★★★★★☆☆
(8 – 非常に良いゲーム。プレイするのが好き。恐らく私はそれを提案するし断らない。)
こういうボードゲーム好きに特におすすめ
- プエルトリコ、サンファン
- 宝石の煌き、センチュリースパイスロード
クロックワーカー 内容物
- カード72枚(59x92mm)
- レコードタイル20枚
- ワーカー50個
- ペレット80個
- ギアトークン80個、
- 勝利点トークン80枚
- +1資源トークン1枚
- -1ギアトークン1枚
- サマリータイル4枚
- スタートプレイヤーマーカー1個
- ルールブック2冊(日・英)
クロックワーカーのスリーブ
ユーロサイズの59x92mmのカードが72枚入っています。
「遺物カード」はシャッフルしませんが、「場所カード」はシャッフル対象なのでスリーブはあった方がよいでしょう。
クロックワーカー紹介のあとがき
以上、ボードゲーム「クロックワーカー」のゲーム紹介でした。
こういう完成度の高い国産ボードゲームが出てくるのは嬉しい限りですね。是非もっとドンドン出て欲しい。。
時間差ワカプレの「クロックワーカー」気になる方は是非チェックしてみてください。
スポンサーリンク